二月が暮れると気分は初秋である。新聞売り場に並ぶ写真週刊誌にまだカーニバルの余熱が残るが、来週になればあらかた姿を消す。日本から訪れた観光客の多くも去った。
演劇の川村毅さんはサンパウロ市に滞在中、東洋人街に感心していた。とくに日本食レストランが軒を連ねるあたり。「昭和の舞台のようですね。なんだか住み着きたくなる」
リオのカーニバルを見物した画家の絹谷幸二さんは妍を競う踊り子たちが「観音様にみえた。天国はあの世でなくこの世にある」と思ったそうだ。
帰国なされた方はいまごろ、普段の生活リズムを取り戻しつつあると思う。さりとてブラジルの記憶はそれぞれの胸の奥でうずき微熱を発していよう。 (大)
04/03/03