ルーラ政権の高齢者優遇策(高齢者憲章)について、さきごろこの欄でふれたところ、すぐ反響があった。八十二歳日系人男性の電話であった。『樹海』は、成文化された法律は立派だが、すべては実際に行われていない、という内容であった。電話はそうした現実を責めてはいなかった▼住居費高騰で困り果てている、高齢者を対象にした軽減策はないか、やはり偉い日系の人に(政界に)出てもらい、しかるべく施策してもらわねばならぬ――難聴気味でも主張はしっかりしていた。近年アパルタメント借用代よりもコンドミニオ負担金(管理費)のほうが高くなり、支払いが嵩んで困りはてている、ということだった▼ルーラ政権の高齢者優遇策は、底にあるのは弱者救済だ。だが、住んでいるアパルタメント建物の管理費は、娯楽施設の拡充にともない、つまり、高齢者には縁のない施設をつくって管理費が増えているのが実態である▼若い夫婦者が多く住む建物だと、居住者会議の決議でもって、こうした事態が起こり得るのだろう。いくら施設を使用しないといっても、管理費負担を免れることはできない。八十二歳の日系人は、なんらかの法令を設けて、高齢者をこの〃責め苦〃から解き放してもらえないものだろうか、と訴えた▼高齢者憲章は、住居に関しては「政府の住宅政策により、公共住宅の三%が高齢者に向けられる」とある。これも、交通での優遇と同様ありがたいが、管理費軽減の願いとは隔たりがある。(神)
04/03/03