3月 4日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】今年初めにサンパウロ市で降り続いた大雨による家屋浸水などの水害被災者に対し、今年の不動産税(IPTU)を免除する市条例案が二日、サンパウロ市議会で可決された。
大雨から約一カ月間経っているが、水害被災者の数は未知であり、IPTU免除によるサンパウロ市の損額も予測できない状態だ。
マルタ・スプリシーサンパウロ市長(PT=労働者党)は、被害の大小に関わらず、IPTUの免除額は全額であり、上限は付けないと決定した。
この件に対し、IPTU免除額に上限を付けるよう提案した市会議員もいた。市議会のPTリーダー、ジョアン・アントニオ市議である。フォーリャ紙は、同市議の案は、実はカルロス・ザラッチーニ地区役所長が出したものだとみている。
同市議は、IPTUが被害総額を上回るケースもあり、一部の被災者をひいきすることになりかねないと指摘。その代表例はモルンビー区のサンパウロ・サッカークラブ(FC)。濁流が同FC内に流れ込み、被害総額は約三十五万レアルと計算されている。だが、同FCのIPTU額は約五十三万七千レアルで、被害総額を引いても十八万七千レアルも得することになる。
だがマルタ市長はこの案を許可しなかった。「家屋や電化製品などを失った人々の心の痛みが、IPTU免除条例案を提案した理由である。IPTU免除によって得した人は、貧しい人を助けてほしい」と、すべての被災者に対して全額免除する考えを強調した。
二日の市議会表決では、市会議員三十九人が賛成し、三人が「IPTU免除だけでは足りない」と反対意見を示した。
IPTU免除案に対抗して二つの案が提出されたが、却下された。一つはリカルト・モントーロ市議(PSDB=ブラジル社会民主党)の「被災者に水害賠償金を支払うべき」という案。もう一つはロジェーリオ・ファルハト市議(PTB=ブラジル労働党)の「IPTUだけでなく、ゴミ税も免除すべき。また、商業用の不動産の場合はサービス税(ISS)と施設監督税(TFE)も免除すべき」という案だった。