3月 6日(土)
高給が得られる職務の一つとして、交響楽団がブラジルで注目されている。ブラジルでは現在、175の交響楽団がある。各楽団は楽団員の再編成や演奏契約の見直しなどを実施しており、楽団員の平均初任給は2千レアル。「普通の仕事より、交響楽団に勤める方が儲かる」と言うのはサンパウロ市立交響楽団(OSM)のエンリッケ・リアン氏。入団者に4千レアルの給料を払っているという。
サンパウロ州交響楽団(OSESP)は、過去数年間にわたって同楽団の音楽家の選考を厳しくし、楽団のレベルアップを図った。その結果、国内外で称賛されるコンサートを開くほどになった。楽団員の初任給をも六千レアルと、一家を楽に支えられるほどの金額に上げ、楽団員の生活水準の向上にも配慮している。
OSMやリオデジャネイロ市のブラジレイラ交響楽団なども、OSESPに影響され、楽団のレベルアップを実施した。
OSESPのスパラ(バイオリニストのリーダー)であるクラウジオ・クルスさん(36)は、この〃交響楽団市場〃の代表的な例だと言える。
クルスさんは音楽隊「クアルテット・アマゾニア」の一員でもあり、2003年からサンパウロ州のカンピーナス市立交響楽団の指揮者も務めている。
これらの活動がもたらす収入は、月に最高3万レアル。自宅のガレージには輸入車もある。
交響楽団に入団するためには、良い音楽学校に通わなければならない。ブラジルには、音楽学校が273校ある。初歩的なレベルから上級レベルまで、学校によって違うが、一人前の音楽家になるには6年から8年かかるという。過去数年間に、音楽学校への入学志望者数が増えている。
だが、交響楽団の需要は本当にこれから増していくのだろうか? ヨーロッパやアメリカの交響楽団は、年々経営に行き詰まっており、楽団を維持するのもやっとな状態だ。アメリカの楽団は民間からの寄付に頼り、ヨーロッパでは政府から資金を得ている。OSESPも、ヨーロッパのケースと同じで、サンパウロ州政府から資金を調達している。イギリス人評論家のNorman Lebrecht氏は、「04年はクラシック音楽が世界各地で求められる最後の年となるだろう」と不吉な予測を出している。
(ヴェージャ誌1月21日)