3月11日(木)
【スセッソ誌】広告界の寵児ワシントン・オリヴェット氏は誘拐拉致という異常体験から、全ては変化している。改善したのでも、改悪したのでもない。ただ変化するのだと悟ったという。但し、初心忘れるべからずと語る。
次は同氏との一問一答。 【人間は全て自分が誰かを問い続けるというが、あなたはどうか】人間は全て、何か役目を負わされ生を受けたと思う。しかし、自分の役目を発見できる人が少ないのは残念だ。自分は幼少から、夢を見ることと書くことが好きだった。
【いかにして夢を実現したか】十七歳のとき、大学の情報学科と心理学科へ入学し、母親位の年齢の女性と恋仲になった。父親に学費の支給を断り自分で稼ぐように、彼女から諭された。勉学のかたわら、自作の広告を売り歩いた。売れる広告と売れない広告を体得した。大学を中退して代理店に就職、広告に没頭した。なぜか作品が、カンヌで銅獅子賞を獲得した。
【業界に知られた経緯は】広告業界の大手DPZから一九七三年、招待され入社した。ここで広告の視野とセンスが開かれた。ブラジルではこの時代、広告の重要性が見直され、注文が雨のように降って来た。波に乗って持ち金全部を広告業へ投資し、独立した。
【独立の動機は】その頃ロサンジェルスへ旅行し、新しいタイプの広告代理店に出会った。この革命的な広告をブラジルで実現するには、自分の代理店を開くしかないと思った。自分を育ててくれたDPZを去ることに、抵抗はあった。
【革命的なかけで心配は】物凄く心配した。此岸から彼岸へ飛び移ろうというのだが、その間に横たわる奈落の底ばかりを見ていた。心配のあまり新会社は、ワシントン&GGKという合弁企業で発足した。この合弁は、大失敗だった。
【まだ自分の実力に自信が持てなかったのか】ここには、経営者と使用人のセンスの差がある。世界一の美しい名文を書いても、利益が上がらないなら無意味というのが経営者。自分の名文の美しさに酔いしれるのが、使用人のセンスだ。自分は名文に自信はあったが、金銭感覚に未熟さを感じて合弁の道を選んだ。
【合弁の失敗をカバーしたのは】自分自身の資産管理も不十分なのに、顧客の資金を預かることに不安があった。金銭感覚では、自分の限界を感じたのだ。そのころ現実的な考え方ができるヘルマイスター氏と、具体的な考え方ができるシウレット氏に出会った。二人の武将を得て、GGKの持ち株購入を決意した。
【長期ロングランの秘訣は】誘拐拉致の体験が、人生の転機となった。自分が自分でなくなったときが、人生にとって危険な時期だと悟った。初心忘れるべからず。自分が自分でなくても、他人になることはない。自分を失ったのだ。特に猛烈人間は、自分を失う危険があるから注意すること。人間は自分の行動と人生に、いつも責任を取るべきだ。これがロングランの秘訣。