女性〝用心棒〟の需要増加=5人がマルタ市長護衛
3月13日(土)
1999年ごろ、ブラジルで初めてガードマンならぬガードウーマンが現れ、03年に爆発的に需要が急増した。サンパウロ警備会社労働組合代表のジョゼ・ジャコブソン氏によると、ブラジルのボディガードの数は現在約1万5千人で、うち約100人は女性の用心棒である。数年前まではゼロに近かったという。これまで男性の職業とされてきた警備分野への女性進出について紹介する。
ガードウーマンは、女性の護衛に最適で、友達のふりをして一緒にトイレへ行ったり、お店に入ったりしながら、用心棒の目を光らせることができる。例えばマルタ・スプリシーサンパウロ市長は、公のイベントで常に女性の補佐官を連れているが、実はガードウーマンである。少なくとも5人の女性軍警官が、交代で市長の護衛を務めている。
ガードウーマン歴3年になるマリア・ルイーザ・ピアーバさん(42)は、「女性エージェントは男性よりも目立たない。誰もガード付きだと気が付かない」と語る。
ガードウーマンの需要が急増したもう1つの原因は、護衛されるエグゼクティブ(上級管理職)の妻がガードマンと不倫しないようにするためである。アメリカ映画『ボディガード』で、ガードマン(ケヴィン・コスナー)と人気女性歌手(ホイットニー・ヒューストン)が恋をするが、このようなケースは意外と多いという。
警備会社『ピーレス』のカミーラ・ボテーリョ部長によると、ガードウーマンは非常時の感情のコントロールや注意力が男性よりも優れているため、リスクの高い警護の場合に必要とされる。「顧客の警護を決める前に、顧客の傾向を分析し、どのような危険状況にさらされるかを把握する。それをした上で、ガードの性やタイプを決める」と、同部長は説明する。女性が男性を護衛するケースもある。
ガードウーマンの大半は経営学科や法学科などの大卒者で、外国語も話せる。射撃、護身術、エスコート技術、逃走時に必要な高度の運転技術、応急手当などの基本医学知識などを身に付けることは男性と同じだが、女性の場合はメイクやマナーも習う。ガードする顧客が上流階級のパーティーなどへ出席する場合、場違いな人間に見られないようにするためである。
顧客がドレスを着ていればガードウーマンもドレスを着る。顧客が海辺でラフな格好をするなら、ガードもそれに合わせる。友人のように振舞い、疑われないことが肝心だという。
最もガードしにくい顧客は危険をかえりみないタイプだと、ガードウーマンのニウセ・パウリーナ・デ・ソウザさん(36)は断言する。「プライバシーの侵害を嫌い、スピードを出してガードの車を巻こうとしたりする」。
プライバシーの侵害をもっとも嫌う年頃である思春期の子供の顧客も面倒だという。「父親から子供が1日何をしていたかと聞かれたら、我々は答える義務がある。もし誘拐されたりでもしたら、お客様の命がどれほどの値打ちとなるかを説明し、理解を求めるようにしている」。
ガードウーマンの給料は平均1300~2500レアル。残業手当も出るので、7000レアルに達するのもめずらしくない。裕福な生活ができても、子持ちの彼女たちには辛い悩みがある。それは、「家族を犠牲にしている」ということ。常に命の危険にさらされていることは覚悟ができているが、毎日帰りが遅いので仕事と家庭を両立させることができず、子供の顔すらろくに見れない。
ニウセさんには10歳の娘がいる。「1日の仕事を終え、やっと帰宅できると思ったら携帯電話が鳴り、顧客のパーティーについていかなければならない。家を15時間から20時間も空けるのよ」と打ち明ける。同僚のマリアさんも3児の母親だ。2人は、仕事を完全に忘れて子供たちに尽くせるよう、「家で仕事の話は禁物」というガードウーマンの〃鉄則〃を守っている。
(ジアーリオ・デ・サンパウロ紙)