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コラム 樹海

  ピカソやダリを生んだスペインは多彩で豊かな歴史を誇りセルバンテスは世界随一とされる傑作「ドン・キホーテ」を世に送り人口に膾炙した文学の国でもある。建築ではガウディの聖家族教会があり闘牛とラメンコはあまりにも有名。この国は八世紀から北アフリカのイスラム教徒・ムーア人に征服され七百年も支配下に置かれる苦しい時代もあった▼大航海時代の先駆けとしてアメリカ大陸の発見やアジアへの進出を果たしたのもスペインでありフランコ総統の内戦はヘミングウェイらの血を沸かせたが、スペイン人は「百人の人口があるならば百の国があるに等しい」と言われるほどに個性派が多い。マドリードの通勤列車爆破テロは、そんな国民性を見せたような気もする。政府の見解ではバスク独立を目論む「バスク祖国と自由」(ETU)の犯行らしい▼テロに使用した爆薬がETUが以前に使ったものと同じ物だというのが理由になっているのだが、イスラムのアルカーイダの犯行声明もあり、今のところきちんとした犯人像は描かれていない。バスク人はスペイン北部に住み人口は約六〇万人。バスク語を話し独特の文化を持ち六十年代から独立を要求しこれまでに三〇〇〇件ものテロを実施し多大な被害を与えている▼列車テロでは百九十二人が死亡し千四百人が負傷。バスク人にしろイスラムにしろこうした蛮行・凶行が許されるはずもない。捜査を厳しくしテロ集団を逮捕するのが、テロ撲滅への道であることをしっかりと学びたい。 (遯)

04/03/13