「パラス2」崩落事故 ナーヤ氏を別件逮捕=文書偽造の容疑=ウルグアイへ向うところ
3月17日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ市サウガード・フィーリョ国際空港で十五日午前一時ごろ、事業家で元下院議員のセルジオ・アウグスト・ナーヤ服役囚が、連邦警察によって別の容疑で再逮捕された。同元下議は、ウルグアイのモンテビデオへ行く予定だった。
ナーヤ元下議は、一九九八年にリオデジャネイロ市で崩落した住宅ビル「パラス2」の建設を担当した会社の社長。崩落事故で八人が死亡しており、破壊されたアパート百七十六軒の所有者のうち、賠償金が支払われたのは二軒の所有者のみである。同元下議は、二〇〇二年十二月十八日に懲役二年八カ月を言い渡され、奉仕活動にかえてもらっていた。
リオ市第三十四刑事法廷のカイオ・I・F・ダヴィー判事が十一日夜、ナーヤ元下議に対し、ミナス・ジェライス州の農場を、偽造書類を使って販売した容疑で仮逮捕状(被告人勾留状)を発布したのが、今回元下議が再逮捕された理由だと、リオ州検察局は説明している。
連警は現在無期限のスト中で、当直警官らは普段よりも念入りなチェックをしていた。パソコンのデータによって、ナーヤ元下議が国外へ出ることが認められていないことが分かった。元下議は〇一年に裁判所が発布した出入国許可状を見せたが、連警は「今回の被告人勾留状はまったく別件のものなので、この許可状は無効である」と説明し、元下議の身柄を拘束した。
ナーヤ元下議に同行していたジョアン・C・エスコステグイ弁護士は十五日午前、元下議が国外へ脱出を図っていたのではなく、パラス2の住民らに支払う賠償金を調達するためにウルグアイへ行く予定だったと説明。二人の航空券は往復券だった。
ナーヤ元下議も同日午後、連警の軽トラックに入る前に、「住民たちに支払う五百万レアルを、ウルグアイで借りてくるつもりだった」と記者団に対して述べている。
同元下議のもう一人の弁護士、ジョアキン・F・スピンドゥラ氏も、「賠償金を払いたくても資産が凍結されている」とウルグアイでの融資説を肯定している。
ミナス州の農場販売の件についてナーヤ元下議は、この農場がパラス2崩落前の九六年五月十日に、セバスチオン・B・ヌーネス氏の名義にかえてあったと主張。つまり、裁判所が資産を凍結する前に名義をかえたので、農場販売などに支障はないと弁明したのだ。
だがバイア州ヴィトーリア・デ・コンキスタ市第三登記所は、「その記録はナーヤ氏の別の不動産の話で、この農場のことではない」と表明しており、同元下議に対する同農場の書類偽造の疑いが生じた。
これに対しスピンドゥラ弁護士は、「別の不動産の記録であって同農場の記録ではないからと、ナーヤ氏に書類偽造の疑いをかけるのはおかしくないか」と反論している。
ナーヤ元下議はまた、凍結された資産の一部である十万レアルを引き出し、国際コンサルタント業者のアウミール・M・マシャード氏に支払っている。後、同氏がパラス2建設時の施工担当であることが分かった。
一方、パラス2崩落事件で十二歳の娘を失ったバルバラ・L・マルチンス医師は、「裁判所は役に立たないとあきらめていた時にこんなニュースを聞くなんで、とても嬉しいわ」と喜んだ。娘のほか、元夫と継母、娘の末の弟の三人も死亡した。