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肥沃の大地北パラナを行く(二)=県連ふるさと巡りの旅=コロニアの安泰願う=氏神様のような開拓神社

3月17日(水)

  バスは次の訪問地ロンドリーナに到着。ロンドリーナ日伯文化体育協会の平間靖旺さんの案内で空港前の西宮広場(兵庫県西宮市は姉妹都市)を見学。その後、同協会所有の全伯一と言われる野球場、十面のソフトボール場、四面のテニスコート、サッカー場などを見学したが、立派な施設に一同感嘆した。
 敷地内では北海道協会派遣ボランティアの谷川悟指導員がパークゴルフ場で競技を指導、一行も挑戦したがホールインワンは出なかった。
 次にパラナ日本語教育センターのロンドリーナ・モデル校を訪問。ちょうど桃の節句であり、立派なひな壇が展示されていた。図書館には数千冊の蔵書。学校教育目標の一つに「日本の美徳を会得させる」と掲げており、躾の継承に力を入れている。
 午後八時から同協会で、県連主催の交歓夕食会に二百名が集まった。
 やはりチラピアの刺し身を食べたが、白身であっさりしておりスズキを食べているようで、大皿に盛られていた刺し身は瞬く間に消えた。
 舞台では青年団による太鼓の演奏があり、地面から体に響く振動にビールの酔いが心地よい。メスチーサによる詩吟の舞も素晴らしく、日本文化の継承をしっかり行っている。
 朝九時にローランジアへ向けてホテルを出発、車中では、おぼろ月夜、かあさんの歌、青い山脈を皆で合唱した。
 パラナ日伯文化連合会(上口誠一会長)所有のパラナ日本移民センター入り口には鳥居があり、それをくぐって敷地内のパラナ開拓神社に参拝。この神社は二〇〇三年十二月に落成。沼田信一建設委員長は建設目的を「日本ではどこの村にも氏神様があり、日本のお祭りは神社が中心になっている。ブラジルの日系コロニアでも開拓先駆者を祭り、コロニアの安泰を願う」と説明した。。
 同神殿には五種の神具として、フォイセ(鎌)、ペネイラ(篩)、プランタデイラ(種蒔器)、エンシャーダ(鍬)、マッシャード(斧)のミニチュアが収められている。
 同神社に祭られたのは大武和三郎(元ブラジル公使館通訳官)、水野龍(移民の父)、渡辺・トミ・マルガリーダ(元救済会々長)、ジョルジ・チビリッサ(元サンパウロ州知事)など二十名。
 同敷地内には移民七十年祭に建設されたパラナ日本移民資料館があり、豊富な資料や展示品で、開拓当時の生活を再現している。
 開拓小屋はすべて土間で、天皇陛下の写真、教育勅語、二宮金二郎の薪を担いだ絵が飾ってある。隙間だらけの小屋には蚊帳を吊り、トウモロコシの皮を詰めたコッションも展示されており、当時の苦労が偲ばれる。
 この小屋の中で、夫婦で参加した竹中さんは娘のキミさんに開拓者の苦労を見せたくて、同行させたが、キミさんも両親の苦労を再確認していた。
 また八十年祭に開拓先没者慰霊碑と移民の像を建立。八十年祭記念碑、二十五メートルの九十年祭記念碑、その横に百年祭記念碑を立てる場所が確保されている。
 ローランジア文化体育協会(青木会長)で交歓昼食会。やはり婦人会の心のこもった昼食を食べ、「ふるさと」を合唱し、次の訪問地ゴイオエレへ出発。(つづく、大角総丙記者)