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電撃誘拐の統計作成中断=分析型の捜査に変更=サンパウロ州の警備対策立たず

3月19日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】犯罪統計の作成を担当するサンパウロ州保安局企画・情報分析部(CAP)が、昨年九月から電撃誘拐の統計をとるのを止めていると十八日、エスタード紙が報道している。昨年までは、同州市警組織犯罪捜査課(DEIC)が毎月電撃誘拐の統計を作成していたが、CAPが統計担当になってからケース・バイ・ケースで電撃誘拐事件を分析する体制に変わった。
 DEICのゴドフレード・ビッテンクール課長は、電撃誘拐の件数が減少し、大サンパウロ市圏の犯罪データを収集したシステム「インフォクリン」が開設されたため、保安局が現体制にするよう依頼してきたと説明する。「インフォクリンで、ある特定の地域の犯罪組織の活動を探ることができる」。
 だが、カルドーゾ政権時に国家保安局長官だったジョゼ・V・シウヴァ大佐は、統計があれば警察はより良いパトロール計画を立てることができると指摘。最近発生している電撃誘拐の予防対策にもなったはずだと批判した。
 DEICが最後に実施した統計調査では、一九九九年九月に発生した電撃誘拐事件二百四十七件に対し、二〇〇三年同月には七四・五%減の六十三件まで下がったという。だが同大佐は、「DEICは事件の全貌を把握していたわけではない」と断言。「それでも何もやらないよりはましだった」。
 シウヴァ大佐によると、軍警がサンパウロ市西部で一九九九年に実施した調査によると、電撃誘拐事件は八千件に達していた。一方、市警は「そんなことはない。二千件未満だ」と主張していた。
 さらに同大佐は、被害者の五〇%が警察に通報していないと推測。「この種の犯罪は、人口七万人以上の中規模の都市でも発生しているのだ」と緊急に対策をとる必要性を訴えた。
 DEICのデータは、銀行の犯罪予防対策にも活用された。二十四時間自動現金預け払い機に、現金を引き出せない時間帯(午後十時~午前六時)を設けたり、人気の少ない場所にある同機を撤去したりした。
 DEICによると、電撃誘拐はサンパウロ市西部に集中しており、午後六時から同九時までに、車を運転中の四十五歳から五十歳までの人が狙われやすいという。
 西部ペルス区やペルジーゼス区などの警察署で、自主的に電撃誘拐の統計を作成している署長もいるが、サンパウロ州内の他市ではCAPのデータに頼らなければならない。エスタード紙はサンパウロ州保安局に犯罪統計での対策について問い合わせたが、「返事はなかった」。現在CAPが作成している統計は、トラックの貨物強盗、銀行強盗、バス強盗、車両強盗、住宅強盗、歩行者を襲う強盗、携帯電話盗難などである。