3月20日(土)
日系スポーツ界に功労のあった選手、指導者に贈られるパウリスタ・スポーツ賞の贈呈式(ニッケイ新聞主催)が十八日夜、文協小講堂であり、ゲートボール、卓球、ゴルフなど計十のスポーツ分野で活躍の目立った十氏に、ブラジル日本文化協会の上原幸啓会長など来賓から銀の盾が手渡された。また、特別賞として本紙文芸欄の短歌、俳句、川柳の各選者六氏が併せて表彰され、深沢正雪編集長ら編集部代表から同じ盾が授与された。
コロニア伝統のスポーツ賞も今年で四十八回目。贈呈式当日はサンパウロ総領事館の西山厳領事、ウィリアム・ウー、羽藤ジョージ両サンパウロ市議、野村丈吾元下議、リベルダーデ文化福祉協会の池崎博文会長、および文協、県連、援協の日系三団体代表など多数の来賓が顔を見せた。
高木ラウル社長はあいさつで「ニッケイ新聞の前身であるパウリスタ新聞時代から続くスポーツ賞。今年は文芸部門も加わった。関係者の励みにしてもらえれば」と話した。
続く来賓祝辞で西山領事は「相撲、剣道、野球などのスポーツは日本人移住者がブラジルに伝え広めたもの。その功績を大きい」。 サンパウロ大学教授でもある上原会長は「教育者として、ブラジル日本文化協会の会長として、スポーツを奨励する賞があることはうれしい。きょうのイベントは大変に重要なもの」と語った。
スポーツ賞受賞者を代表した剣道の石橋弘喜氏は謝辞のなかで、幕末の剣豪島田寅之助の言葉とされる<常に剣を学ばんと欲すれば、まず心を正せ。心正しかざれば、剣また正しからず>を引用。
「これは剣道だけでなくあらゆるスポーツ、武道にあてはまるのではないか。輝かしい未来をつくるのはいま素晴らしい種をまかねばならない。ブラジルの地に輝かしい未来をもたらすために今後もお手伝いさせていただきたい」と述べ、指導者としての決意を新たにしていた。
文芸受賞者の謝辞は短歌の清谷益次氏が代弁。
「短歌は一九〇六年、鈴木貞次郎が詠んだ作品までさかのぼれる。俳句は笠戸丸で来た上塚周平が初めてつくった」と、コロニア文芸の歴史についてまず簡単にふれた。
さらに「邦字紙が一九一六年以降に発行されるようになってからやっと『移民の心』を発表する機会ができた」と話し、コロニア文芸の発展の裏に日本語新聞の存在があったと強調。「日本語による文芸を支える大きな力として、今後もご支援いただきたい」と締めくくった。
表彰された人々
◇スポーツ賞関係 坊村俊秋(ゲートボール)、石橋弘喜(剣道)、葦谷ペドロ・ヒデオ(ゴルフ)、山田マルコス(卓球)、山田クラウジオ・ケンジ(野球)、鈴木マルリ・ミドリ(柔道)、ヴィトル・ザラゲッタ・J・パストレリオ(相撲)、福森アドリアナ・マリ(陸上競技)、タチアネ・マユミ・サケミ(水泳)、古賀・緒方ライス・ミワ(テニス)=敬称略
◇特別表彰(文芸欄選者) 清谷益次(短歌)、小野寺郁子(短歌)、星野瞳(俳句)、富重かずま(俳句)、瀬古義信(川柳)=敬称略