田中真紀子元外相の長女のプライバシーに関する「週刊文春」への出版禁止命令の持つ意味は大きい。これを不服とする文春側は異議を申し立てたが、東京地裁は拒否し「表現と言論の自由」についての問題提起をするかたちとなった。地裁は「長女は私人。私事は保護されるべき」だとしているが、今後の裁判の行方を見守りたい▼日本の新聞やTV・雑誌のマスコミに行き過ぎがあるのは否定できない。新聞やTVは今や「第四権力」とされ取材活動も傍若無人になりがちなことも多い。最近の実例では東京都知事の石原慎太郎がいる。昨年の講演で石原氏は「私は日韓合併の歴史を一〇〇%正当化するつもりはない」と語った。ところがである。毎日新聞系列のテレビ局TBS(東京放送)が人気番組で「私は日韓合併の歴史を一〇〇%正当するつもりだ」の字幕を掲げ石原批判を展開し、韓国系の民団と北朝鮮系の朝鮮総連からも非難された▼激怒した石原氏はTBSを告訴したけれども、このTV局はオウム事件でも大失態を演じ磯崎洋三社長が引責辞に追い込まれる前科もある。共同通信の記者も石原氏が「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」と話したのに肝心な「不法入国した」の部分を省いて批判記事にし全国の新聞社に配信し、最後は共同通信が「お詫び」している▼こうした例は森喜朗元首相にも被害があるし、同じ記者としてマスコミの在り方への心くばり深くしたい。 (遯)
04/03/23