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子供向けテレビ番組を=条件満たす作品なし=教育効果考慮して製作

3月27日(土)

   【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三月十五日】子供向けのテレビ番組は現在まったく存在しない――。サンパウロ市に在住する四~十七歳の子供を持つ親六十人に、子供に見せられるテレビ番組としての条件を聞いたところ、子供向けテレビ番組の〃十戒〃とされる絶対に守るべき条件が打ち出された。だが、この〃十戒〃に当てはまる番組は現在一つもないと、調査を実施したマルチフォーカス研究所は発表している。

 まず、親たちが選んだ子供向けテレビ番組の〃十戒〃を紹介する。
 [その一、魅力があること]若者たちの話し言葉を取り入れ、音楽やアクション、競技、運動、ユーモアなどの要素を含む番組でなければならない。
 [その二、好奇心をくすぐること]ただ単に情報を伝えるだけではなく、スポーツや文化など、他分野にも関心を持たせなければならない。
 [その三、価値観を培うこと]家族を敬う、隣人を尊重する、相互扶助、倫理観など、親が子供に教えていることをさらに強調しなくてはならない。
 [その四、ファンタジーであること]子供の空想の世界を壊さず、遊びを奨励し、夢見ることを教えるのが大切。
 [その五、視聴率目当てに何でもかんでも見せようとしない番組であること]性を軽々しい形で番組で見せない、下品な言葉使いをしない、他人の不幸を笑わない、人様を嘲笑しない、消費主義を促進させない、麻薬を見せない、暴力を当たり前の出来事のように紹介しない、など。
 [その六、視聴者の立場になること]視聴者(この場合、十七歳までの子供)と同じような立場の人物を番組に登場させ、視聴者たちが実際に持っている不安や悩みについて番組上で話し合う。
 [その七、現実を見せる]物事のすべてに限度があり、生きていくためにしなければならない選択が、個人の人生にどのような影響を与えるのかを教える。現実にはあり得ない世界を見せて、現実を逃避させるような番組はダメ。
 [その八、批判的なセンスを目覚めさせること]若者たちに自分自身や周囲について考えることの重要さを教え、評論的な物の見方を養う。多様な意見を番組で紹介する。
 [その九、自信を持たせること]個性を尊重し、高く評価すること。普通の人と違うなどと差別せず、偏見を持たせるような番組を作らない。すべての若者が「自分は社会に受け入れられている」と感じるような番組でなくてはならない。
 [その十、これからの人生の準備をさせること]多くの生き方を紹介し、職業面や社会面での若者たちの未来を話し合う番組であること。
 子供向けテレビ番組の中には、この十戒のいくつかを守っている番組もあるが、実際に子供たちが見ている番組は子供向けではない。
 九歳までの子供が見る番組の上位三位は、「グローボ・レポルテル(ニュース)」「ビッグブラザー・ブラジル(バラエティ)」「ダ・コール・ド・ぺカード(ドラマ)」と、どれもグローボTV局の大人向け番組である。
 十歳から十七歳までの子供では、「ダ・コール・ド・ペカード」「ビッグブラザー・ブラジル」「グローボ・レポルテル」と順位は少々違うものの、まったく同じ結果である。彼らの年齢に合わせて製作されたドラマ「マリャソン」が唯一、九位に登場しただけで、残りはすべて大人向けの番組ばかりである。
 マルチフォーカス研究所のアナ・H・M・レイス部長(五三)は、「子供は大人の番組も見る。親たちが心配する〃十戒〃は、大人の番組にも採用されなければ意味がない」と説明。「親が期待するのは、子供を対象とした新しい番組の製作である」。