ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 南部2州にサイクロン=観測史上で初めて=予測できず対策後手に=被害40郡、漁船多数が遭難

南部2州にサイクロン=観測史上で初めて=予測できず対策後手に=被害40郡、漁船多数が遭難

3月30日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】サンタカタリーナ州南部と南大河州北部は二十八日、南半球では観測史上初めてというサイクロンに見舞われ多大な被害を受けた。風速百五十メートルの突風を伴い、死者二人と行方不明十二人以上、怪我をした人六十人以上、倒壊家屋五百戸、損傷家屋十万戸の被害をもたらした。電話や送電は不通、国道も決壊したため十数郡は孤立し連絡が取れず、家を失った罹災者数など被害の実態がつかめていない。

 サイクロンは北半球の気象現象と思われたが二十八日未明の二時から八時、豪雨を伴って同地方を襲った。被害を被ったのは、全部で四十郡に上る。送電が全域で復旧するのに、七十二時間を要するとサンタカタリーナ電力(CELESC)は発表した。携帯電話は早々に、復旧見込み。
 国道BR101号線では遠距離バスが、三十五キロメートルにわたって交通止めとなった。国道を走行中の乗用車運転手は、宙に看板や建材の破片が舞い、道路脇の木々は情容赦なく車上に倒れ生きた心地がしなかったという。
 漁船多数が、高波に呑まれて難破した。漁師らは同僚が目前で遭難するのを見て、何もできなかったと悲しんだ。水上警察が漂流していた漁師六人を救助した。空軍も空から、遭難者の探索活動を行っている。
 木造家屋は豪雨が降りつける中、屋根を吹き飛ばされ一家ずぶ濡れで一夜を過ごした。トイレだけはコンクリートと煉瓦で建造した家があり、避難場所として近所の人々を迎えた。
 大西洋上の異常現象は二十七日午後四時半、すでに観測していた。国家統合省は、サイクロンの接近を両州政府へ通告。被害を被った市が罹災宣言を公布してから、州政府は動きだし対策が後手になった。サイクロンについての予測が各公的機関で異なり、足並みの乱れから対策に不手際を生じたようだ。 
 南半球でもサイクロン発生の可能性が確認され地方自治体は今後、上陸予定地の住民に前以て緊急避難を呼びかける予定という。南部地方は干ばつに見舞われているが、異常気象のみで正常な降雨はまだない。