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気象庁、サイクロン観測でミス=風速間違え被害拡大=死者3人、8人が行方不明

3月31日(水 )

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十日】国立気象観測院(INMET)のアントニオ・D・モウラ院長は二十九日、同院の技術者たちがサンタ・カタリーナ州(SC州)とリオ・グランデ・ド・スル州(RS州)を襲ったサイクロンの最大風速の予測を間違っていたことを認めた。
 モウラ院長によると、技術者らは瞬間最大風速を時速八十~百キロメートル(風速二十二・二~二十七・七八メートル)だと予測していたが、サイクロンが上陸した時の実際の風速は時速百五十キロ(風速四十一・六七メートル)に達した。
 サイクロンはRS州ラグーナ市からSC州トーレス市まで(約二百キロメートル)の四十都市で吹き荒れ、うち二十三都市で多大な被害が出た。両州の防災庁によると、約一万人が避難しているという。
 モウラ院長は、SC州を襲ったサイクロンが発生した地域(大西洋)で、気象観測用のブイを使用していれば、風の威力を正確に把握できていたはずだと反省している。
 「大西洋のいくつかの地域に、風力を正確に測定するためにブイを設置したいが、それに必要な費用がまだINMETに回されていない」と、同院長は予算不足に悩まされていることを打ち明けた。
 基本的な機器である観測機がなかったINMETは、米国の人工衛星から送られてきた写真に基づいて予測値を出していた。モウラ院長は、サイクロンはガウッシャ(RS州の)山脈にぶつかって風速を増したと説明している。
 反省の言葉を述べる一方でモウラ院長は、防災庁にブラジル南部沿岸地方にサイクロンが向かっていることを伝えたと言明。「サイクロンの進路は的確に予想できた」と断言している。INMETは二十七日、「人工衛星の画像では、サイクロンは威力を失いつつあり、海洋での風速は時速約六十キロ(風速十六・六七メートル)である」と声明していた。
 海岸から二十キロ沖で漁獲中にサイクロンに見舞われた漁師のルシアーノ・シウヴァさんは同日、サイクロンの恐怖を地元ラジオで語った。
 「自分の乗っていた『ヴァリオ2』号は『アントニオ・ヴェナンシオ』号とともに漁をしていた。各漁船六人の乗組員がいた。突然、高さ四メートル以上の波に襲われ、船がひっくり返り、乗組員全員、海に放り出された。夜中泳ぎ続けて陸地にたどり着いた」。シウヴァさんの仲間二人は救助され、もう一人は二十九日午後に遺体が発見された。現在、行方不明者は八人。捜索活動が続行されている。
 二十八日の時点で死亡が確認されていた男性二人を含めると、サイクロンの死亡者数は三人に上る。一人は国道で木に直撃され死亡、もう一人は自宅付近で、遺体で発見されていた。