4月1日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】サンパウロ大学(USP)のジョアン・A・ズフォ教授は二十日、国内で飼育する一億八千万頭牧牛の耳にチップスを取り付けることで、ブラジル牧畜産業のハイテク化を推奨した。
効用は二つある。第一はチップスによって牧畜家は各牧牛の居場所と鑑識、栄養状態、食欲状態、健康状態、感染病原菌の有無、ワクチン接種と有効期間などの把握ができる。第二に全土に散在する全てのチップスで牧牛を、ネットワーク・コントロールができる。
このチップス・ネットが確立されれば、口啼病や狂牛病などが常時監視ができる。牛肉輸出の品質管理が、完璧となる。国際牛肉市場では、このチップスを電子チケットと呼ぶ。チップスは半径五十キロメートルへ、牧牛に関する情報を発信する。インターネットに連結すれば、どこででも情報を受信できる。
政府がこのシステムを取り入れれば、狂牛病などの衛生問題は解決する。国際的に牛肉や牛乳の品質面で信用を得る。チップスにかかる費用は、投資として十分有利に回収できる。米国では一部の牧場で実施したが、全域で行わず不完全なため、三カ月前の狂牛病問題で苦杯をなめた。
ブラジルはチップス生産で、半導体技術に乗り遅れたとする偏見がある。世界最先端レベルの半導体でなくても、牧畜用の廉価なチップス生産を推奨するという。ブラジルの既存の技術で牧畜用のチップスは作れるし、ネットも構築できる。世界最先端の牧畜もできる。
ブラジルの技術者が電子工学で劣等感を持つのは、七〇年代の過保護貿易に守られた時代の悪習。フィリップスもジーメンスも半導体から手を引いた。ブラジルは韓国をまねて二十年間、電子技術の開発に苦心したが韓国のレベルには達しなかった。その後、ブラジルは電子開発で投資を中断し、人材養成もしていない。