4月1日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】バイア州ヴァレンテ地方の農業生産者は二十四年間、サイザル麻栽培に携わってきたが中間業者に搾取され生活はいつも貧しかった。
ヴァレンテはカーペットやじゅうたん用のサイザル麻の栽培で国内の九〇%を生産し、世界生産の五〇%に相当する。ヴァレンテのサイザル麻は繊維が細く長く、欧州の高級カーペットの原料として供給されるが、生産者は輸出の恩恵には預からなかった。
ヴァレンテのサイザル麻生産者は一九八三年、NGOの指導で生産組合を設立した。外国の団体から四万五千ドルの援助を得、倉庫を建設。六年後には中間業者を経ずに、組合が直接輸出できるまでになった。しかし、ここに至るまでには、紆余曲折があった。
組合員の預金と借入金十五万ドルで、サイザル麻の加工工場を建設。加工前価格はトン当たり百二十ドルであったものが、三百五十ドルと付加価値がついた。一世帯当たりサイザル麻の生産高は、年間十トン。加工工場には八百二十人が就労し、月間二百五十トンのカーペットやじゅうたんを生産する。六〇%は輸出、四〇%が国内向けという成績になっている。
組合は設立当初、年間売上が九千レアルであったが、現在千百万レアルに成長した。運転資金も当初の一〇〇%借入金から、現在九七%の自己資金となった。組合に併設していた食料販売所は、九百平方メートルのスーパーに改造した。
組合は羊や山羊の飼育を奨励し、チーズ工場や皮革工場も併設した。皮革のなめし技術も習得したため高値で販売できるようになった。組合幹部は設立当初、何度も無力感と知識不足に悩まされたと述懐する。