4月1日(木)
様々な課題を残した新定款による役員選挙。ただ、新執行部が最も早急に取り組むべきは、シャッパを構成する人数の変更だ。
「一つのシャッパに十四人なんてとんでもない。これが県連を二分した大きな要因の一つですよ」
網野弥太郎顧問が指摘するように今回、「中沢派」と「吉加江派」で県連は二分。二月に林アンドレー愛知会長が対抗シャッパを出す、と代表者会議で明言したように県連史上初めて二つのシャッパが出されるのは確実だとみられていた。
結果的に中沢宏一会長の単一シャッパが出されたが、これは吉加江ネルソン副会長(当時)が定数に満たない九人しか集めきれなかったのが原因だ。
現行定款では会長を筆頭に、副会長七人、会計三人、書記三人の計十四人を必要とする。
「我々、選管としては二つのシャッパを出し、政策論争など堂々の選挙戦を繰り広げて欲しかった」。選挙戦を願った網野顧問でさえ、シャッパに十四人は多すぎると考えている。
現在県連に参加するのは四十四都道府県。二つのシャッパが出された場合、二十八の県人会長がどちらかに属するため、結果的に「○○派」といった色合いがしこりとなって残りかねない。実際、一旦はシャッパに名を連ねた永松通一大分会長は、「二人のもめ事に巻き込まれるのはどうか」という県人会役員の突き上げを受け、異例の辞退を申し出ている。
網野顧問は「会長と副会長七人の計八人で十分。会計と書記まで含める必要はない」と改正を訴える。
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賛成二十三、反対二十一ーー一票差ながら一見、信任を得られたと見られる今回の投票結果。しかし、中沢会長はこの数字を重く受けとめる必要がある。
それぞれの票を分析すると興味深い事実が浮かび上がる。中沢会長がシャッパに集めた十四票は当然賛成に、吉加江副会長が集めた九票は反対に流れたはず。そうした数字を差し引くと中沢会長は九票の支持しか得ていないのに対し、反対票(吉加江票)は十二票で上回る。
こと「浮動票」に限って言うと、中沢会長は「不信任」だったことになる。
また、一世対二世の構図を描き出した今回の対立ながら、一世会長の約半数が中沢続投に「ノン」を突き付けた格好だ。
中沢会長に賛成票を投じた一世会長は胸の内を明かす。「百周年までは一世がやらんと。やりたい人と言う人にやらせるほかない」
積極的賛成ではないが、他に人材が見当たらない――こうした県人会長らの姿勢が浮き彫りになったのが、続いて行われた正、補監事の選挙である。
最多の十八票を集めた林愛知会長を筆頭に吉加江副会長、大西博己広島会長らがそれぞれ正、補監事に選出。いずれも日ごろの代表者会議では積極的に発言し「うるさ型」で知られる二世だが、シンパだけで固めた新執行部の独走は認めない、との県人会長らの意志がそこにはある。
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〈何とか、この二人を仲直りさせないと〉――今回のゴタゴタに県連の将来の不安を感じた西谷前会長は、総会終了後の懇親会で、中沢会長と吉加江副会長にお互い歩み寄るよう提案。固く握手を交わした両者に、出席者から大きな拍手が寄せられた。
中沢会長自身、「内部でごたついていては、日本祭りも成功するはずがない。二世の力は欠かせないので、広く人材を活用する」と確執は拭い去る、と明言する。
ただ、課題も残る。独立採算性のため、別会計にしている日本祭りについては、未だに昨年の会計報告が終わっていないなど、総会でもいくつかの不透明さが指摘された。チェックするはずの正監査三人もろくに目を通さない上、一人は旅行中でサインさえしていない。
「今までのようにあいまいな状態は認めない。執行部に問題があれば代表者会議や臨時総会で指摘する」と正監事の一人、林愛知会長は牽制する。
会計や運営を監視するだけでなく、執行部会にもオブザーバーとして参加し、できる正監事。「県連を大切に思う気持ちに変わりはない。近く監事が会合を開き、体制を強化したい」と言うのが吉加江、林の両正監事の意向だ。
「ガラス張りの運営」と「一枚岩の組織作り」。新執行部の使命は重い。
(終わり、下薗昌記記者)