4月6日(火)
◆先祖の国◆
イタリアもポルトガル同様、かつてはブラジルに労働力を送り込み、今は、後に倍の数の親族を呼び寄せる伊系ブラジル人を受け入れている。在ローマ・ブラジル総領事館のマリア・エジレウザ・フォンテネーレ氏によると、約六万人のブラジル人がイタリアに住んでいるらしい。
ラテン系の文化に生活を助けられるが、その国に同化することは簡単ではない。「よく、イタリアで住むのはた易いと考える伊系ブラジル人がいるが、実際はそうでもない。イタリアのパスポートで入国すれば、あとは仕事を探すだけ。でも、それがなければ外国人となり、とても面倒」というのは、ジョシアーラ・リマ・デ・オリヴェイラさん。八〇年にローマ大学経営法学の修士課程に進むため渡伊、イタリア人と結婚し、現在は国際政治と女性の人権を専門とする弁護士だ。
イタリアでは永住権の取得が非常に難しいが、多くのブラジル人が職を求め、長期滞在を試みる。ジョシアーラさんは、「仕事を失い、六ヵ月以内に次の職に就けない場合、イタリアを出国しなければならない」と説明する。
国際法を取り扱い、ローマ在住の移民たちを援助しているブラジル人弁護士、ダニエーラ・デウマント・プラドさん(三二)は、多くの女性がベビーシッター、または家政婦として働き、男性は建築業に従事しているという。「生活費はユーロの導入により、すこぶる高くなった。それでも、多くの人がブラジルの家族を養うため送金している」と、移民の実情を語る。
◆甘い結婚の罠◆
イタリア人男性はブラジル人女性にとって、常に憧れの的だ。ジョシアーラさんは、「ブラジル人女性は知り合って間もない、随分と歳の差があるイタリア人男性と結婚する。例えば、二十五歳のブラジル人女性と六十歳のイタリア人。男女間の問題は山ほどある。女性は身体的、心理的な暴力に苦しみ、子どもたちも影響を受ける。結婚がうまくいってない時、まず、されることは、子どもを母親から奪うこと」と訴える。事実、密入国のほか、在ミラノ・ブラジル総領事館で取り扱いが多い問題として、未成年の保護があげられている。
ジョシアーラさんは、また、ポルトガルやスペインとも共通する問題として、若者の売春行為を指摘する。「多くの若者が『ほんの短期間だけ、嫌になったら止めればいい』と考える。でも、実際、そんなに簡単に生活を変えることはできない」。
(つづく)
■日本以外の外国に住むブラジル人の生活=インターナショナル・プレス紙から=(4)=治安、地域によって大差=米国、大都市は魅力ない