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民法改正、式典出費が響き…=会費徴収に踏み切る=鹿児島県人会=91年の歴史で初=「1千家族は集めたい」

4月7日(水)

 九十一年の歴史で初の会費徴収――。ブラジルの県人会としては最古の歴史を誇る鹿児島県人会(田畑稔会長)が今年度から、一家族に付き、月五レアルの会費を集めることになった。昨年の九十周年式典で予想外の出費を強いられた上、新民法では会員数や収入源を定義付けるよう定めていることから、初めて会費徴収を決断、二月の定期総会で承認を受けた。ただ、県人会はあくまでも県人の結束を高めることを目標としている。「会費を払うことで会の運営にも関心と責任を持ってもらえれば」と田畑会長はその意図を語る。
 従来は五年ごとの記念式典の際に集まった母県からの寄付や県人会が所有する不動産を処分して運営を賄ってきた同県人会。
 一九一三年に設立された最古の歴史を持ち、これまでは県出身者なら会費を払わずとも、会員に含まれていた。その数は推定だが四、五万人に上ると見られている。
 「実は会費徴収は二十年ぐらい前からずっと検討されてきた」。会費徴収が長年の懸案事項だったと打ち明けるのは前会長の徳留清相談役だ。今回、会費を集めるきっかけとなったのが、新民法の施行だった。「会員数と収入源の明記」を求める新民法に対し、「県人なら誰でも歓迎する」と門戸を開いてきた県人会も静観できなくなった。
 また、昨年の記念式典の出費も徴収に拍車をかけた。一千人を超す会員が出席するだけに、文協講堂でなくイタペセリカ・ダ・セーラ市の全面的な協力を仰ぎ、無償で体育館を会場に提供してもらったが、これが裏目に出た。「ただほど高い物はない」と苦笑する徳留相談役は、文協講堂ならば必要なかった壇上設置など予定外の支出が十万レアルほどあった、と打ち明ける。
 二月の総会では一家族当たり、月に五レアルの会費を徴収することが承認された。特に反対意見はなかったという。「一世だけでなく、より多くの若い世代を取り込もうと家族当たりの会費制にした」と田畑会長。現在、パカエンブー区の高級住宅街にプール付きの豪華な会館を有する県人会だが、週末などに若者が集う機会は多いという。徴収した会費は、会館内のパソコンの充実や二、三世に向けた日本語講座の設置など未来を担う世代のために、投資していく方針だ。
 また、従来は執行部任せだった運営も自らが会費を支払うことでより積極的な姿勢が見られるのでは、と徳留相談役は期待する。
 アマゾンやバイーア、サンタ・カタリーナなどまとまった鹿児島県人が在住する地域には役員らが自ら足を運び、会費徴収への理解を訴える予定だという。
 地方の会員はサンパウロに出てきた際、一日十レアルで会館内の一室に宿泊が出来る。「地方の県人も会費を払うメリットがあることを伝えたい」と徳留相談役。同県人会では最低でも一千家族は、会員として集めたいと考えている。