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柿の収穫を祈願=「今年は最高の出来」と予想=ピラール・ド・スル サンパウロ柿生産者協会

4月7日(水)

 サンパウロ柿生産者協会(森岡明会長、APPC)は二日午前十時半から、ピラール・ド・スル(サンパウロ市から西に百三十七キロ)の森岡モデル園で、第一回の柿収穫祈願式を行った。来賓らによるテープカットの後、参加者約八十人は会場に入った。
 同祈願式は仏式で、イビウナ日伯寺の櫻井聡祐主任開教使が執り行った。同モデル園の中ほどに紅白幕と注連縄で結界が張られ、祭壇最上部には「全伯開拓先亡者之霊位」と書かれた位牌が置かれ、正面には柿が供えられた。ジワジワと汗の吹き出る陽気の中、参加した生産者ら約八十人は、開教使の言葉に祈るように聞入った。祈願式の後、ハサミ入れ式を行なって日本酒で乾杯し、翌日から本格化する収穫を祝った。

 同協会は、約六十軒の柿生産者が相互協力するために二〇〇四年に発足。同時に、柿の輸出を促進するためのAPPC輸出輸入有限会社(城島将男社長)も設立した。城島社長は「今年の出来はとても良いです」と嬉しそう。
 〇〇年の柿生産量は一万ケース(三・二キロ入り)だったが、〇三年には四万ケース、今年は八万ケースを見込んでいる。品種は富有柿で、ヨーロッパ向けが四分の三、残りがカナダ向けとなっている。生産者の八割が日系人で、植付け面積は増えていないが、単位面積あたりの収穫量を増やしてきた。収穫時期は通常、三月終わりから六月初めまで。
 昨年七月にJICAから派遣された専門家、浦田昌寛シニアボランティアの指導もあって、今年の収穫増に期待が膨らんでいる。浦田さんは熊本果実県連の技術指導課長を三年目まで務めており、日本の最新技術に詳しい。〇〇年から、やはりJICAの派遣で、アルゼンチンに技術指導にいっていた。今回の収穫祈願祭も浦田さんの発案だ。
 「私が赴任してきた時、こちらの栽培方法は、日本の十五年前の技術をそのまま継承していた状態だった」という。「一つの枝に一つ(の果実)を徹底してもらった」などを指導。会場となった森岡モデル農園には、浦田さんが直接、ハサミを入れて摘蕾した木があり、見比べてもらうことで指導の成果が一目で分るようになっている。
 「玉つりは着色促進と上昇 加えて汚染果防止の大事な作業」「枝つりは枝折れ防止と果実肥大の促進が目的」など、モデル果樹の前には、浦田さんの分りやすい説明が付けられている。
 森岡会長の話では、二年ほど前に生産量が伸び悩んでいる時期があり、JICAに専門家の派遣を依頼した。「浦田先生の指導の成果はもう現れており、今年は最高の収穫になりそうです。浦田先生の後も引き続き指導者を派遣していただきたい」と森岡会長は挨拶の中でお願いした。
 続いて挨拶にたったJICAサンパウロの小松雹玄支所長も、「枝が折れんばかりに、実がなっているのは素晴らしい」と今年の出来をほめたたえた。
 自身も果実生産者であるピラール・ド・スル文化体育協会の安藤禎重会長は、「一作一作が勝負です。柿の生産・販売が良くなることで、若い人がたくさん文協の会員になってくれることを祈っています」と語った。同文協には百六十五家族が入会しており、その九五%が農家。農業後継者が育つことと、文協の活性化は密接に関連している。