4月14日(水)
サンパウロ州サンミゲル・アルカンジョ市で第四回農産物展と第二十一回イタリア・ブドウ祭りが、三月三十一日から四月四日まで開催され数万人の人出でにぎわった。
今でこそ市役所が実施しているこの祭りだが、五年ほど前までは日系人が中心だった。同市役所によれば、周辺には大小合わせて八百軒のブドウ農家があるが、減ったとはいえ、今でも百軒は日系人。農業不況やデカセギなどで、若者の流出が著しいが、まだまだ頑張っている日系農家は多い。
九六年頃まで、同文協(藤川アントニオ会長)には百五十家族の会員がいたが、現在は百十七家族と減少傾向。「このブドウ祭りも、もとは日本人会会館前でやっていたのが、手狭になってここへ移った」(同文協関係者)という。
ブドウをやめた日系農家では、ブドウ棚を利用して、キューリやカボチャ、マラクジャなどを生産している人も。カキやビワの生産者も増えている。
同市から十八キロほど離れたコロニア・ピニャールは、品評会出展や農産物展への出店など、ブドウ祭りの陰の功労者だ。
そこでルビー種やイタリア種などを中心に十二ヘクタールのブドウ栽培をする山下治さん(六八、福井県人会会長)。この地域のブドウ栽培先駆者の一人だが、「剪定して縛って、芽が出て縛って、手間がかかりますよ」という。
ミナス連邦大学農学部を卒業した息子の高広さん(四〇、二世)は「種無し種なども手がけてみたい」と考えている。すでに家督を譲った山下さんは、週に一回は車で片道三時間かけて出聖し、県人会の仕事にいそしむ。
ピニャール文協の徳久俊行副会長も、「若い人が出て行くのがさびしい。昔は若い人がどんどん百姓をやっていたが、今はデカセギ。また、大学受験に他の町に行って、昔は帰ってきたけど、今は帰ってこないんですよね」とこぼす。
ピニャールにある日本語モデル校も全盛期は百人近い生徒が通ったが、現在は三十四人となった。ピニャール文協(広瀬義夫会長)の会員、五十一家族はほとんどがブドウ生産者。