ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | JPモルガン投資銀行 ブラジル経済を悲観予測=政府、公務員に弱腰=収支と債務管理杜撰化=金融市場、マイナス反応

JPモルガン投資銀行 ブラジル経済を悲観予測=政府、公務員に弱腰=収支と債務管理杜撰化=金融市場、マイナス反応

4月17日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】米国のJPモルガン投資銀行は十五日、ブラジル政府は公務員の給与調整交渉に弱腰で、財政の経理処理を変更し収支状態を脆くする可能性があると発表した。同行は、ブラジルの外債証券を買い控えるよう進言。金融市場は直ちに反応、カントリー・リスクが一〇・九五%急騰し、六百十八ポイントと昨年十月の水準へ戻した。海外のブラジル関連証券は一斉暴落。国際金融で途上国の境遇に無神経な政府には、よい教訓だとする指摘もある。

 中央銀行の基本金利〇・二五%切り下げで落ち着いていた金融市場は十五日、寝耳に水のJPモルガン報告書で叩き起こされた。ドル通貨は一・〇四%上げ、サンパウロ市証券市場は株価指数を二・五七%下げた。政府の財政政策を疑問視する同報告書で、水を差された。
 ブラジルの外債五十一億ドルが決済期限であった当日に、報告書は公表された。ブラジルの財政状態は悪化し、経済成長は損なわれるとする悲観的内容であった。驚いた国際金融の投資家は、ブラジル関連株の契約取り消しに奔走した。
 政府関係者は、JPモルガン報告書に異議を唱えた。一、二月政府の財政政策は失策続きであったが、財政黒字の目標達成が困難になったわけではない。内外の金融市場が現在、微妙な状況にあり報告書は注意を喚起したとする意見が多い。
 米国でインフレが予想以上に上昇し、ブラジルの関係者の予測よりも早く公定歩合の引き上げ発表が行われた。これも、ブラジルへの外資流入が妨げられる要因とみられる。
 さらに中国が、第一・四半期に九・七%の経済成長を遂げ、インフレが二・八%上昇した。中国はインフレ抑制のため、基本金利を引き上げると予想される。中国がブラジルの大輸出先国となったいま、中国の一挙手一投足がブラジルに即時影響を及ぼしている。
 JPモルガンが顧客筋に配布した報告書では、政府財政は公務員や年金生活者に大盤振る舞いをするような状態にないとしている。
政府支出は一、二月、昨年同期比で国内総生産(GDP)と債務の関係が脆弱となったと分析した。ブラジルは〇四年、国際金融から二十五億ドルを導入する必要があるが、投資家はもう余裕がない。ブラジルの経済政策は先が思いやられると、報告書が結んだ。
 JPモルガン報告書は国際金融の指標なので、悲観的評価は不利だと、ヴェローゾ元企画相は述べた。これは国際金融とルーラ政権の蜜月時代の終焉で、思ったより早かったという。
 たとえ政府が財政黒字を達成しても、経済成長のための条件が制限されるとみている。理由は、最低賃金と公務員給与、年金にインフレ率以上の調整を容認したこと。社会保障院の累積赤字が、制御不能なこと。公社の設備投資削減による財政黒字の達成などを挙げた。政府は財政黒字の算出法を変更するなら、GDPと債務の管理が杜撰になると同元企画相は懸念する。