4月17日(土)
ブラジル日本商工会議所の定例昼食会が十六日モルンビー区のヒルトンホテルであり、元鉱山動力相の植木シゲアキ氏が「ブラジル経済、過去、現在、未来」と題し講演した。
「百年前のブラジル人口は日本の三割だったが、現在は日本より二割も多い。五十年前のGNPは日本より多く大変豊かだった」と切り出した植木氏は始めに、「この百年で、経済が最も伸びた国はGNPでみれば日本の平均四・八パーセントとブラジルの四・六パーセント」と説明した。
また、「六四年から八四年までの軍事政権時はGNPが年平均七・五パーセントも伸びたが、その後はわずか二・二パーセントと人口増加率と同じぐらいしか伸びていない」とも語り、「もしも、八五年からGNPが年平均七・五%伸びていたなら、今年のGNPは一万四千ドルになっており、今の六倍ほどのブラジル人が豊かな生活ができる」との見解を示した。
現ルーラ政権については「三グループで支えられる組織。第一は経済担当のパロッシ大蔵大臣、メイレーレス中銀総裁など。第二はメルカダンテ下院リーダー、ジルセウ官房長官などの国会対策担当。それに前選挙で落選したが政権獲得に活躍したジェノイノ党総裁などが社会問題を担っている」と分析。
カーニバルまでは、与党に引き入れたPMDBはおとなしくしていたが、大統領の支持率低下、十月の地方統一選挙をにらんで、揺さぶりをかけて来ているのが、「大統領の頭痛の種だ」と明かした。
また、今後の経済動向を予測し「学者などはひんぱんに金利をすぐに下げろと言うが、金利を下げると、ブラジルの国民性か、新車などを購買しインフレが起こる」とした植木氏だが、「いまの政権の経済政策は大変オーソドックスだかよくやっている」と評価。
さらに、「いま、最低賃金二百四十レアイス案が検討されているが、私の予想では二百七十から二百七十五レアイスに収まれば、少し景気のよくなり、金利対策もうまくいくはず」との持論を披露した。
講演の最後は笑い話。
――ウオール・ストリートの証券会社で働く若者が営業成績の不振を理由に解雇された。そこに現われた神様は、お金のかからない望み事なら一つだけかなえてあげようと言った。若者はすぐに答えた。「神様、私のささやかな願い事は、『一年後』のウオール・ストリート・ジャーナル紙を今すぐ手に入れたい」。
植木氏はバストス市生まれ。サンパウロ市のPUCを卒業。ペトロブラスで営業重役、ガイゼル政権では鉱山動力大臣。その後はペトロブラス総裁などを経て現在、会社経営のかたわら、大企業の審議会メンバーなどを務める。