4月20日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】フランシスコ・グラジアノサンパウロ州元農務長官は十七日、農地改革入植者の四〇%は、転売禁止を無視して入植地を売却したことを明らかにした。パラー州南部では、入植者の六〇%が入植地を売却済みという。ポンタル・デ・パラナパネーマ地方の入植者五百七十一世帯は十八年後の現在、二百五十五世帯のみが営農を継続している。入植地では地主が、六回変わった所もある。
農地改革法は、入植地の転売を禁じている。入植地購入者は、土地の権利書を取得できないことを承知で入植地の売買を行っている。農地改革院の統計では、農地の違法売買はサンパウロ州が一五%、パラナ州が三二%、ロンドニア州四〇%、パラー州が六〇%、全国平均で四〇%という。
サンパウロ州ポンタル・デ・パラナパネーマ地方では農地が、一ヘクタール当たり千六百レアルの相場で取引されている。入植者は入植地に、プラス・アルファーを付けて売りに出す。売買を繰り返し、資産を蓄積した入植者も少なくない。
農地改革法によれば入植地は国家資産と見なされ、土地はもちろん地上物件に対しても金銭の享受が禁じられ、売買の対象にならない。入植者が何らかの理由で入植地を離れる場合、当局へ連絡して次の入植希望者へ分譲地を回すと同法に明記されている。売却が証明された場合、当局は審理のうえ入植を取り消しにする。
入植後何らかの止む得ぬ理由により離農する場合、地上物件に対する保証で農地改革法の改正案を検討中。地上物件の評価を行い、入植者は融資を受けて分割で払うことになる。地上物件に対する入植者の優先権も認めないようだ。
パラナパネーマ川右岸のロザーナ入植地は、マリオ・コーバス前サンパウロ州知事によって買収が行われ、農地改革のモデル・ケースになった。現在は別荘地として垂涎の的となり、法外な値段がついている。同地への入植希望者は行列をなし、入植抽選権も取引されている。百二十二入植地のうち二十入植地は、別荘用に資産家へすでに売却。七入植地は交渉中となっている。
入植者は世帯主の外に、息子や娘にも入植地の分譲を希望している。家族全員が入植希望申請書を提出し審査の後に、入植資格を認められたと順番を待っている。順番で優先されるのはMST(農地占拠運動)のリーダーで、入植者にとって入植地売買は、格好のビジネスとなった。入植者によっては当局職員とコネを持ち、リベート制度もあるようだ。
パラナパネーマ川沿いの入植地を取得した入植者は、始めから別荘用の施設を建築する。同地方の入植地が高値で売買され、入植希望者が殺到していることで、ようやく農地改革院サンパウロ州支部が腰を上げた。同支部長は十七日、違法売買の事実調査を行うと言明した。同支部がピラシカバ農大で調査したところ、ロザナ入植地の二五%が違法売買されたという統計がある。