4月21日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ブラジル人医師のアンドレ・S・ファウレ氏(三九)は〇一年、心臓手術用のマイクロ・ロボットの試作品を、航空技術院(ITA)で発表した。その時傍聴したベルギー政府高官が、百八十五万ドルの資金援助を申し出た。
心臓手術用のロボットは八〇年代、米国で理論的に完成していた。米政府は戦時非常用の手術ロボットを必要としていたが、国内での実験に難色を示した。関係者は、スポンサーを求めてEUへ飛んだ。最初のロボットによる心臓手術は九七年に行われた。
ロボットの心臓手術は、部分的切開による繊維挿入法と薬事療法、カテーテル方式と三方法が一般化していた。今度ファウレ氏の試作したマイクロ・ロボットは第四の方法として、次のように工程を行う。
右心房の不整脈を治療するために、心臓内部の不要物を除去する電極を備えた腕を持つマイクロ・ロボット腕が体内に入り、さらに右心房内部へ微細な電極を挿入する。ロボットは右心房内部の広さを測り、電極を必要な幅に調節。不要物除去で脈の調整を行う。
従来のロボットは腕先にピンセットと鋏を装填していた。ファウレ氏のロボットはその代替として、柔軟性のある電極のニットを装填した。電極は右心房の形に合わせ、伸縮の調節できることが注目を引いた。
手術は音波発振器を食道に差し込み、心臓の超音波映像を三方から立体的にモニターへ写し出す。心臓は活動したまま手術を行う。これは多くの実験で、安全が確認されている。心臓の不整脈疾患は四〇代では一%とされるが、八〇代となれば一〇%と多い。