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『松柏・大志万』新校舎建築すすむ=建学理念、共感呼んで=日本の=多方面から大型寄付=ブラジル人に日本の美徳をプラス=将来は福祉活動も

4月21日(水)

 松柏学園・大志万学院の新校舎(総工費約一億六千万円)がアクリマソン区内に建築中だ。着々と工事が進み、今年十月に竣工予定になっている。「日本の精神文化をブラジルに普及することで、社会の発展に寄与したい」─。建学理念は多くの個人・団体の共感を呼び、多方面から寄付や声援が寄せられた。運営団体として「社団法人松柏大志万」(本田剛志理事長)を設立。福祉活動にも乗り出す考えだ。
 「日本語は本当に美しい言葉。だから、前向きに教えていきたい」。新校舎建設の意図について、川村真倫子松柏学園長は力を込めて語る。二十年間、温めてきた構想だ。
 「語学学校のような形式にしなければ、日本語教育は長続きしないのではないだろうか」と危機感も持つ。ブラジル学校、「大志万学院」が生徒数の増加で、手狭になったことも新築を後押しした。 
 精神文化の普及には特に、力を注いでいきたい考え。「ブラジル人は一般に明るいといわれていますが、いい加減な面もかなりある。それに、時間厳守や勤勉さなど日本で美徳とされるものが加われば、きっと素晴らしい国民になるはず」。
 敷地面積三千三百平方メートル。地下一階地上三階建。内部備品などを含めて、総工費は一億六千万円。
 趣旨に賛同した玉井乾雲さん(日本)が個人で二千万円を寄付。倫理研究所が七千万円を資金援助したほか、万博基金もこのほど、千万円の支援を決めた。
 川村さんは「土地を購入したとき、大きな借金をしたんです。でも、返済はいつでもいいからといってくださって、借用書にはサインをしなかった」と顔を綻ばせる。
 社会運動の中のひとつとして、学校教育を位置付けるため、社団法人を設立した。「〃日伯学園〃のようなものを社会にプレゼントして、国の発展に貢献したい」との思いが込められた。
 スラム街でのリーダー育成や帰国デカセギ子弟のケアーなどを視野に入れた活動をスタートさせる。既に具体案も整っているという。
 竣工と同時に生徒は新校舎に移る。新入生は来年から受け入れる予定だ。川村さんは「ボランティアなどに積極的に関わっていくような子供に育ってほしい」と張り切っている。
 問い合わせ電話番号=11・289・8146(松柏学園)/3209・6211(大志万学院)/3271・1811(同上)。