4月21日(水)
十七日のブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)の定期総会で、二〇〇三年度会計報告と本年度予算はすんなりと承認されたが、実際の内容は決して誉められたものではないようだ。その詳細を検証してみた。
■一〇万の赤字の処理■
まず、〇三年度の収入は二一三万八三九二レアル、支出は二二四万四二四六レアルで、赤字額は一〇万五八五四レアルだった。この赤字は純資産(約四九二万レアル)から補填された。
この〇三年の赤字の帳尻を〇四年に合わせるのか?
〇四年度予算を見る限り、その積りはない。収入は二三九万七三六一レアル、支出は二三八万二七〇五レアルで、黒字は一万四六五六レアルのみ。赤字を補填する予算ではない。万が一、赤字を垂れ流す経営体質になると、純資産という先人が築いた財産を食いつぶし、それがなくなったところで破産…。
■委員会は独立採算へ■
新しい経営方針は、各委員会が独立採算となることだ。加えて、各委員会収入の一〇%を今まで本部に納めてきたが、今後は一五%となる。さらに、今までは総務委員会が負担してきた葉書・手紙の郵送費なども委員会が負担する形となる。それにより本部負担が減り、財政好転につながると期待されている。
■緊縮だが積極財政■
「基本的には緊縮財政」とのこと。でも、〇三年の収入実績が約一九五万レアルで、〇四年度予算が約二四〇万レアルと、実際の予算規模は〇三年より二割近く膨らんでいる。
例えば本年度の収入増は、資金集め晩餐会を五月に計画している会員拡充委員会(昨年は収入ゼロ)の収入予測が約五万七千レアルとなっている点などの積み重ねだ。昨年五万レアルの収入だった芸能委員会が今年は九万レアルを、昨年は一六万レアルの赤字を計上した移民史料館運営委員会が今年は赤字を約一〇万レアルに抑えるとしている点なども主な増収源だ。
一方、昨年までは収支ともにゼロだった大豆食普及小委員会に、いきなり七万三二〇〇レアルの予算がついたあたり、〃影の会長〃と言われる渡部和夫改革委員の肝いりらしい配分だ。しかも、特別企画委員会傘下のただの「小委員会」にも関わらず、二十九ある委員会の大半より高額。
■実は黒字R$三千のみ■
注目されるのは、全委員会中最大の収入、四十五万一千レアル(本年度予算)をあげる予定の日本語講座が、今年半ばから日伯文化連盟に譲渡される点だ。本年度は二万二〇五〇レアルの黒字を残すと予測されているが、年度半ばまでが文協取り分なので、残るのは半額の約一万一千レアル。そうなると、本年度の合計残高一万四六五六レアルのうち、実際に黒字として残るのはたった三千レアルとなる。
つまり、一歩間違えば、今年も赤字になる可能性があるわけだ。
■運営の足腰強化を■
本年度収入案約二四〇万レアルのうち、会費収入は十分の一強の二十八万レアル。文協本体の収入は会費、寄付、各委員会からの上納金の三つしかない。本体の経営を安定させるには、会費収入増は有力な選択肢だが、昨年一年間で大きな進展は見られなかった。本年度再び赤字転落せず、経営の足腰を強めるためには、会員増を期待したいところだ。
総会時に創立会員から指摘されたように、来年の文協創立五十周年に向けた動きが始まると、それに関連した予算配分も出るだろう。大半が百周年祭典協会執行部と人事が重ねるゆえに多忙中とはいえ、文協本体の足元固めこそ、早急な課題であることは論を待たない。 (深沢正雪記者)