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IMF世界経済白書 ブラジル経済は不安定=過重債務が足かせ=公共債務、GDPの78%=借金に化けたインフレ

4月23日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】国際通貨基金(IMF)は二十一日、年次総会で世界経済白書を発表した。世界の平均成長率は四・六%で、〇〇年以来の好調だという。しかし、ブラジルは〇四、〇五年とも僅か三・五%程度の成長率に留まり、しかも不安定であると推定。メルコスル加盟国の経済成長率は年平均で〇四年が四%、〇五年が三・七%とみている。ブラジル政府が実施した一連の改革は評価するが、過重な債務が不安定要因とした。

 IMF発表の世界経済白書で、ブラジルは過重債務のために経済は不安定、成長率は主だった発展途上国や南米諸国にも劣ると報告した。アフリカ諸国でさえも、〇四年は四・二%、〇五年は五・四%だ。
 ブラジル経済低成長の原因は、高失業率と所得格差、国民の貧困化で引き起こされた社会不安とIMFはみるが、短期間での解決は困難としている。
 IMFは米国のFRB(連邦準備制度理事会)が公定歩合の引き上げを実施したら、最も影響を受けるのは体力の虚弱なブラジル経済だとみる。ブラジルは一連の財政改革でようやく経済成長の途に着いたが、債務の多くが短期のドル決済であるため、経済の不安定さは変わらないという。
 米国の公定歩合引き上げは、国際金融の投資家を途上国から引き離す。ブラジルのような借金にドップリ浸かっている国は、特に危険だとIMFはみている。国際金融情勢は最近、悪化傾向にある。そのうえブラジル政府は、基幹産業で国際投資家の信用を損なうような経済政策を採った。
 財政専門家は次のように分析する。政府の財政改革努力は評価されたが、実質目標は達せなかった。公共債務の削減策は骨抜きになり、内外の投資家を安堵させるには至っていない。二月末時点の公共債務は連邦と州、市を併せて一兆二千五百二十億レアル、なんと国内総生産(GDP)の七七・九%に相当する。
 途上国の債務は、平均GDPの六〇%以上となった。ブラジルの懸念材料は、経済成長率が際立って低いため外債の決済に窮していることだ。レアル・プランの発表当時、GDPに対する債務率は三〇%であった。その後インフレは沈静したが、債務が激増した。これはインフレの嵐を、債務の嵐に切り替えただけの話に過ぎない。しかも債務の嵐のうえに、不況のおまけが付いた。
 国民は、政府のカラクリに気づいたようだ。債務とGDPの関係で説明するなら、借金の増額と金利が経済成長率を上回っている。国民が「働けど、わが暮らし楽にならず」は、ここに原因があるようだ。借金取りが催促に来たら、娘か妻を売りとばすことになりかねない。
 モラトリアム(債務不履行)回避のため、高金利の借金をして金利を決済する。まさに蟻地獄の様相。政府は最悪の事態を避けるため、四・二五%の財政黒字捻出に専心し、裾を取って肩に継ぐ努力を始めた。これで二・六%の成長率は相殺される。綱渡り経済は公定歩合か為替相場に異常が起これば、立ち行かなくなる。