コチア青年らが夢を求めブラジルの大地に渡ってから来年で五〇周年を迎えるそうだ。みんなが二十代かそこいらで五十ドルを懐にしての移民船だったが、今や古稀の人たちも珍しくはない。そんな「古き青年」たちが国士館センターに「コチア青年の森」を造成することにし一人一人が一本の木を植えて子供らに残すという▼大変におもしろい企画だし是非に成功して欲しい。日本移民はモジアナ線に始まってノロエステ、パウリスタからソロカバへと開拓の斧を振るいカフェや棉花を植え発展への道を進んできた。ペローバやセードロの大木を伐り倒し農地を広げたのだが、当時は環境への配慮もなく開拓への歩みしかなかった。そんな「罪」の償いのためにも植林は後輩らの責務かもしれない▼近代の森と言えば、東京の明治神宮がある。あれは一九二十年に完成したものだが、内苑の森には日本の主立った樹木が植えられている。全国の青年団が勤労奉仕し三六五種に及ぶ十万本の樹木が各県から献木されたものでありもう立派な「森」になっている。子供の頃に年寄りによく聞かされたものだが、あの献木には山奥に入り若い者たちが額に汗して根を掘り、馬車に積み鉄道の駅まで運んだのだ▼コチア青年の森はいい構想ながら―これを少し大きくして「日本移民の森」にできないものか。樹木はブラジル原産のものがいい。管理と維持が大変ながら「森林公園」にすればいいのではないか。移民一〇〇年祭の記念にも格好だと思うのだけれども。 (遯)
04/04/24