4月27日(火)
二十四日と二十五日に行われたNHKドラマ「ハルとナツ 届かなかった手紙」のエキストラ公募に、いきなり約一千人が申し込みし、関心の高さを伺わせた。生後六カ月の赤ん坊から百一歳のおじいちゃんまでが参加し、ますますお祭りの様相に。特に二、三世層の申し込みが多く、日本への関心が若い世代にも根付いていることを感じさせた。「みなさんに協力していただき、目標をはるかに超えました」と申し込み会を主催したブラジル日本文化協会・NHKドラマ支援委員会の小川彰夫委員長は感謝の言葉を贈る。
二十四日にカンピーナス文協(ハナダ・ダタヨシ会長)で申し込み会が行われ、百一歳の老移民をはじめ二百十三人が申し込みをした。神戸保委員会事務局長も「みんな、すごく楽しんでやっていました」とその様子を説明した。
二十五日午前十時からは文協・小講堂で行われ、七百七十人が申し込んだ。二日間の合計は九百八十三人。同支援委員会の「三百人」の予測を遥かに超え、関心の高さを証明した。
二十五日午前八時半に来て一番乗りした西森久和さん(二世、三五、サンパウロ市在住)は、「移民の歴史は大切なこと。ぜひ出演したいです」と心情を吐露した。「表面的でない移民史を表現してほしい。特に過去の苦労話だけでなく、現在、ブラジル社会で活躍する日系人の姿も映し出してほしい」と、ジャーナリストらしい注文をつけた。
友人と連れ立って申し込みに来た、一九六二年に十歳で移住したという長崎出身の女性は、「このような意義のあるイベントに参加したいと思って。こんなことは二度とないでしょ。撮影現場を体験してみたいです」と参加動機を語った。「このようなことをどんどん企画してほしい。みんなが参加できる点がすごく良いと思う」。
『ためしてガッテン』が大好きという、一九三三年に十三歳で来伯した野村好子さん(八五、サンパウロ市)は、「私達はテレビや新聞で日本のことを一杯知っているが、日本の人はこちらのことを知らない。このドラマを通して、同じようにこちらのことを分って欲しい」と訴えた。
友人に誘われてきた後藤忍さん(二世、三〇、サンパウロ市)は、「リオのファベーラ抗争とか、アマゾンとか、ブラジルはそれだけじゃないということを日本の人に分って欲しい。ブラジルは怖いというイメージが広がっているが、ドラマを通してそのメージをなくしてほしい」と述べた。
八歳で渡伯して以来、一度も日本へ帰っていない浅沼よしえさん(七七、京都出身、タボン・ダ・セーラ)は、「日本の人はここはみんなカイピーラ(田舎者)だと思っている。『おかげさまで、みんな立派にやっている』と言えるような姿を映して欲しい」と期待を込めている。
小川委員長は「本当に嬉しい。赤ちゃんからおじいちゃんまで、予想以上に集まりました。いろいろ世話をしてくれたカンピーナスのハナダ会長はじめ、みなさんに有難うと言いたい」と感謝した。
同委員会は、近日中に申し込みデータを日本のNHKに送り、同社が選考。合格者には、二週間ほどで支援委員会から直接、連絡を行く予定。募集人数二百人のところへ一千人も集まったことで、選考倍率は大幅に上がったが、その分、ドラマに期待する〃熱い想い〃も集まったようだ。