4月29日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ルーラ大統領は二十七日、新最低賃金を二百六十レアルにすると内定した。賃金引き上げ率は、インフレ率に一・五%を上乗せするに止まった。大統領は関係閣僚十人を招き、新最低賃金に関する四回目の閣議を開いた。社会保障院の累積赤字を最小限に押さえ、調整も控えめにと希望したパロッシ財務相の案が採り入れられた。家族手当は一人につき現行の十三レアル四八セントから二十二レアルまたは二十五レアルに引き上げる。
大統領は側近との打ち合わせで、新最低賃金についての懊悩を露にしていた。大統領は最低賃金の引き上げに全てを賭けたはずの人生であったが、現実との板挟みで心痛はいかばかりかある。大統領選の公約では、二〇〇六年までに最低賃金を倍増するとあり、「大統領のウソ」にならないか懸念される。
ルーラ大統領に託する国民の期待は絶大で、それに応えたい大統領の気持ちも察せられる。大統領は二十六日、ダイムラー・ベンツ工場で行われた統一中央労組(CUT)との会合で、任期満了後支持してくれた国民から再度「同志」と呼ばれたいと語った。
大統領は社会福祉分野や政治改革で内憂外患の中、内心は新最低賃金を二百七十レアルにと願っていた。調整は不本意ながら、政府の経済政策を非難しないよう閣議で要請した。公約通りではないが、政府の財政運営と均衡財政の釣り合いを優先したと説明した。
PT党内は、新最低賃金を不満とする声で不協和音が響いている。党幹部は、財政投融資と最低賃金予算を混同しないよう党員に理解を求めた。しかし、下層階級への所得再分配が均衡財政の犠牲になっているとして、意見が分裂した。
国民の目から見ると、党と政府を結びつけているのは最低賃金である。新最低賃金での不満を、家族手当で穴埋めする案も出た。しかし法改正が必要なので、同案は即時に対応できない。