4月29日(木)
【時事、フォーリャ・デ・サンパウロ紙、エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ニューヨークの米連邦破産裁判所は二十七日、経営再建中の米通信大手MCI(旧ワールドコム)が保有する、ブラジル長距離電話会社最大手エンブラテルの約五二%の議決権株式をメキシコの通信大手テルメックスに売却することを承認した。
MCIはテルメックスの買収案をすでに受け入れていたが、裁判所の承認が必要だった。同裁判所のゴンザルベス判事は「カライス(テレフォニカ、テレマール、ブラジルテレコムの三社が共同で設立した会社)への売却は、テレメックスへの売却よりもブラジルの規制に抵触するリスクが高いと考えられる」と宣告、カライスのエンブラテル買収は市内、長距離を含む通信市場を支配する可能性があり、電信庁(Anatel)や経済防衛行政審議会(Cade、公正取引委員会に相当)の抵抗を受けると訴えたMCIの弁護士の主張を繰り返した。
同判事はまた、九〇年に不正会計がもとで破産したMCIのイメージを、ブラジルで法的問題に巻き込まれることでさらに傷つけたくないとするMCI側の主張も認め、テレメックスへの売却決断を「良識あるもの」とした。
カライスは同裁判所の判決に「失望した」としながらも、上訴するかどうかは未定。テレメックスの買収提示額が四億ドル、カライスが五億五千万ドルであるため、エンブラテルの株主にとっては「損失だ」とカライスは声明を出した。
MCIは昨年十一月、経営再建策の一環として、九八年の民営化の際に八億九千万ドルで買収したエンブラテルの売却を発表、今年三月十五日にエンブラテル株のテルメックスへの売却合意を初めて発表していた。
エンブラテルのテルメックスへの売却は、ブラジルで電信庁と経済防衛行政審議会(Cade)によって承認される必要がある。電信庁は三月三十日にMCIとテレメックスが申請した事前合意書を分析する。Cadeはエンブラテルとテレメックスの買収交渉と、買収が消費者と電話会社間の競争へ及ぼす影響について、情報収集を始める予定。