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コラム 樹海

 四月二十八日は何の日かと問われてきちんと答えれる人は少なくなったのではないか。昭和二七年(一九五二年)のこの日に日本は独立国となったのであり、サンフランシスコ講和条約が発効し日本は占領に別れを告げて「国家主権」をもつ国家になったのある。この独立に至る道は険しく、左翼進歩派や文化人の殆どが全面講和論を掲げ吉田茂首相らの推進派に大反対した▼東大総長の政治学者・南原繁氏が全面講和派の巨頭で多くの新聞もこれに同調するような気配が濃厚であった。こうした動きに怒ったワンマン宰相・吉田首相は南原総長を「曲学阿世の徒」呼ばわりしマスコミを賑わしたりもしたが、振り返って見ると―吉田首相の路線は正しかったと言わざるをえない。日米安保条約もこのときに発効するのだが、日本の安全はこれによって守られたものであるのは誰しもが否定できない▼あの六年八ヵ月の占領時代は必ずしもいい事ばかりではない。言論統制もあり検閲も厳しかったのである。昭和天皇が戦後初めて靖国神社に皇后さまとご一緒に参拝されたのも独立後の昭和二七年十月であった。このときに全国から集まった三千人の遺族らは境内に薄縁を敷いて座り「万歳」と叫び陛下は帽子をふってこれに応えたと記録されている。このときには中韓からも一言の批判もありません▼早いもので日本の独立からもう半世紀―。今の日本は豊かになりすぎているけれども、偶には「独立」に目を向けてあの頃の苦しさに思いを馳せたい。  (遯) 

04/04/29