4月30日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十八日、二十九日】リオデジャネイロ州のロジーニャ・マテウス知事の夫で、元大統領候補のアントニー・ガロチーニョ氏は、リオの麻薬組織の勢力が増していた昨年四月に同州保安局長官に就任し、二十八日で一年を迎えた。就任当初に十五項目に及ぶ治安回復の公約を発表したが、守られていない事項が八つもある。四月初めには警察がリオ市南部ロッシーニャ貧民街を占拠し、治安維持に乗り出す事態が発生。二十日には同西部コレイア貧民街の地雷八個を含む武器大量押収事件もあり、この一年間で治安が回復したとは言いがたい。
ガロチーニョ長官の公約した十五項目のうち、完全に守られたのが七つ、実施中の公約が三つあるが、五つはまったく実行に移されていない。
守られなかった公約は次の通り。
(1)受刑者に軍警の制服の仕立てや庶民住宅の建設を義務付ける。
(2)高精度カメラを装備したヘリコプター五台を購入する。カメラの映像は、知事室と保安局長官室へ送信される。
(3)軍警と市警に麻薬検査を義務付ける。
(4)市警の専門警察署五カ所(自動車盗難、銃器・爆発物、麻薬、貨物盗難、殺人)のリフォームを実施する。
(5)市内五百カ所で防犯カメラによる監視を実施する。
防犯カメラを使った対策は当初、電話会社『テレマール』との提携で実施される予定だった。だが、ライバル社の『エンブラテル』が、リオ州を「入札なしで提携会社を選んだ」と訴えたため、ガロチーニョ長官は同対策を放棄。代わりに市内のいくつかの地点にカメラを設置し、軍警大隊内部に治安管理室を設けた。これが設置されたのは二十二大隊中三大隊のみである。
市内の警察署から逮捕者を除去し、留置場をなくすと約束したものの、新しく〃集中警察署〃をつくって逮捕者全員をそこへ詰め込んだため、実際には公約が完遂されたわけではない。
各種の犯罪発生率のうち、十種類で一二%の減少(〇三年五~十二月と〇二年同期との比較)に成功したが、殺人や住宅強盗、商店強盗の三種類ではそれぞれ一〇%、四・五%、五%増加している。
ロジーニャ知事とガロチーニョ長官は二十八日、ルーラ大統領と会談し、四刑務所の建設費七千八百万レアルと、十二月まで陸軍兵士四千人によるリオ市の治安維持、同州担当の連邦警察官の増員などを要求した。政府は十日までに返答するもよう。
ロッシーニャ貧民街での麻薬組織抗争が起こっていた時も、ロジーニャ知事は同じような要求事項を連邦政府に申請した。この時は、「陸軍兵士らを一時的にリオ州軍警の指揮下に置きたい」とするリオ州側の姿勢にマルシオ・T・バストス法相が反発し、政府は申請を認めなかった。