5月4日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】外務省によると、ヨーロッパで昨年、コカイン所持で現行犯逮捕されたブラジル人は二百人に及ぶ。フランスで八十二人、ポルトガルで四十八人、イタリアで四十人、スペインで三十人が逮捕されたという報告書が今年初め、外務省に送られてきた。彼らはナイジェリアの麻薬組織に雇われ、ほとんどが失業者だという。
逮捕されたブラジル人らは、コカインを次の都市へ運ぶ予定だった。ミラノ(イタリア)やパリ(フランス)、アムステルダム(オランダ)、バリ(インドネシア)、バルセロナ、ビルバオ、マドリッド(スペイン)、イスタンブール(トルコ)、ウィーン(オーストリア)、シュツットガルト、フランクフルト(ドイツ)、リスボン、ポルト(ポルトガル)。
サンパウロ州市警麻薬捜査課(DENARC)の調査によれば、大サンパウロ市圏グアルーリョス市のサンパウロ国際空港から国外へ麻薬を運ぼうとして逮捕されたブラジル人の多くは失業者で、サンパウロ市中心部の職業安定所の列に並んでいた時にナイジェリア人に斡旋されたという。また、麻薬密売人や麻薬使用者の売春婦などから紹介されたというケースもある。
FBIが国際的に暗躍するコカイン密売組織とみているナイジェリアの麻薬組織は、ブラジルにも麻薬を密売している。DENARCのイヴァネイ・C・ソウザ課長は、「ナイジェリア人らは、ブラジルでコカインや合成麻薬の市場を開拓し、投資している」と言明している。
DENARCは一九九三年から、サンパウロ州で不審なナイジェリア人らを捜査している。過去三年間に逮捕されたナイジェリア麻薬組織関係のアフリカ人やヨーロッパ人は三百人に達する。
警察の目をごまかすために、ナイジェリア麻薬組織は主要国際空港であるサンパウロ国際空港やリオデジャネイロ市のトン・ジョビン国際空港から麻薬運搬人の出国を控え、ブラジル北部や北東部の空港を利用している。
斡旋されたブラジル人らは、航空券や宿泊費として三千~五千ドルを支払われる。余った費用は自分の物になるので、借金などを抱える失業者はそれに目がくらむのだ。
昨年には、フランス、スペイン、アメリカ、日本の警察がナイジェリア麻薬組織について詳しく調べるために来伯した。外国の捜査官は、DENARCの捜査記録などに目を通しながら、DENARCの警部や刑事らと語り合ったという。