5月4日(水)
初の在外邦人候補に大きく前進か――。自民党からの参院選出馬を目指すパラグアイ在住の高倉道男氏(六三)を自民党が公認候補にする方向で検討している、と四月三十日の日本経済新聞が報じている。民主党が、朝鮮日報日本支社長を公認候補として擁立したことに対抗し、海外在住邦人代表として高倉氏を公認する意向だという。三日現在では高倉氏の公認は決まっていないが、自民党では日本の黄金週間休みが終わる六日以降に、正式な結論が出されるものと見られる。
海外からの国政選挙への立候補は二〇〇一年七月の参院選に自由連合から、ブラジル在住の相楽寿一氏が立候補した例があるが、住民票などの問題から海外邦人の出馬とは見なされていない。総務省によると、国政選挙に在外邦人が立候補した例はなく、高倉氏が出馬すれば初となる。
南米からのデカセギ労働者の人権問題や、海外在住一世の老齢年金問題などを争点に高倉氏は昨年、出馬を表明。地元の大分県やデカセギを多く抱える愛知県など日本国内はもとより、北米やブラジルなどでも立候補への理解と協力を呼び掛けてきた。
四月には「高倉道男君の自民党公認を推薦する国会議員の会」が自民党議員三十人によって結成、小泉純一郎総裁宛に公認を薦める署名も提出されている。
また、ブラジルではブラジル日本都道府県人会連合会の執行部など「移住者の声を祖国の国会と同胞に届ける国会議員の誕生は移住社会の悲願であります」などと、公認を求める書面を小泉総裁に送付。日伯両国で、高倉氏を支援する動きが広がっていた。
公認要請の遅れや、不確定な集票力などから公認問題で苦戦が続いた高倉氏だが、先月の衆院補欠選挙で自民党が三戦全勝し、七月の参院選でも見通しが明るくなったことや、民主党が朝鮮日報日本支社長の白氏を公認したことが追い風となっている。
長年、県連で在外選挙権問題に取り組んできた網野弥太郎顧問は「もし、公認が決まれば大きな前進。身近な候補者がいれば、在外選挙権を持つ有権者ももっと関心を持つはず」と期待を込める。
また、県連の中沢宏一会長は「皆さんそれぞれに考え方があるから、相談する必要がある」と前置きした上で、県連主催の在外選挙権についてのキャンペーンンなどを実施する可能性にも言及。「特定の個人を支援するわけにはいかないが、側面的に機運を盛り上げていければ」と語った。