ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 新しい安全対策=専門家招き個別防犯指導=増える強盗事件 聖総領事館 希望者呼びかける

新しい安全対策=専門家招き個別防犯指導=増える強盗事件 聖総領事館 希望者呼びかける

5月4日(水)

 サンパウロ総領事館(石田仁宏総領事)は四月三十日午後四時から、同館多目的ホールで今年初めての安全対策会議を開催した。会議には石田総領事のほか、文協、援協や商工会議所関係者ら十五人が参加。瀬賀仁領事の司会で最近の強盗・詐欺事件の事例、その対策などが話し合われた。
 最初に石田総領事があいさつ。「皆さんの意見や経験などを話し合い、安全対策に役立てたい」。続いて、司会の瀬賀領事が「安全対策会議の担当になった。邦人、日系人の安全の役に立てるよう頑張りたい」と意気込みを語った。
 その後、大熊博文領事が最近のサンパウロ州の治安情勢、同館に寄せられた邦人・日系人の被害事例について説明。また、新しい安全対策の一環として「海外邦人安全対策ワークショップ」を実施すると発表した。
 これは危険度の高い地域を対象に安全対策の専門家(Japan・Security・Support)を派遣し防犯対策を指導するもの。サンパウロ市では七月から十月の間の二日間が予定されている。民間企業、日本人学校など安全対策指導の要望のあった団体・企業を調査後、アドバイス、講演会も開くという。大熊領事は会議の席で希望者を呼びかけていた。
 【最近の治安情勢】〇三年の犯罪統計によると州内の強盗事件が〇二年より一一%も増えており、車両強盗を加えると一日の発生件数は九百、サンパウロ市内だけで四百八十件発生している。どの地域で多発しているかは特定できないが、個々人の防犯に対する意識を強化する必要がある。
 【多発する電撃誘拐】サンパウロ市内では一日一二件発生している。ほとんどの被害者は二時間から八時間拘束され、現金引き出し機で現金を引き出された後、解放されているという。モルンビー、サウーデ、モエマ、イタイン・ビビの各区など多くの邦人が住居し、ショピングセンターなどがある地区で頻発している。対策は被害にあった場合は抵抗しない、残高の少ない銀行カードしか持ち歩かないなど。会議に参加していた駐在員のひとりも「名刺も銀行カードも持ち歩かない」と、電撃誘拐を警戒している様子だった。
 住居への侵入強盗も目立つ。高級アパートに組織的な強盗団が押し入り、金品を強奪する事件が相次いでいる。対策はポルテイロの教育にかかっているという。対策としては普段からポルテイロの行動をチェック、不注意な点があれば、雇用している警備会社に連絡して改善させること。
 【車両乗車中の強盗被害】今年一月から現在まで、邦人三人から乗車中に強盗被害(いずれも未遂)にあったとして被害届があった。停車した場合、拳銃などで運転手を脅す手口がほとんどで、周囲に注意を払っていれば未然に防ぐことができる場合もある。
 【出稼ぎ日系人家族を被害者とした詐欺未遂事件】先日バウルー管内であった。今まで同様の手口で、大熊領事は「出稼ぎ中の家族が交通事故にあった、病院代を立て替えたので、支払いを要求されたというものだった」と事件の経緯を説明した。
 【宝くじの換金依頼を装った邦人狙いの詐欺未遂事件】二月九日と十二日、サンパウロ市で発生した。「当選券をもっているが、イデンテダーデがないので換金できない。信頼できる日本人のあなたに換金してほしい。疑う訳ではないが、その保証に一千レアイスを私に預けてほしいと、言葉巧みに持ちかけてくる」と、大熊領事はその手口について紹介した。
 【携帯電話クローン】携帯のスイッチを入れたときに、クローンされる可能性が高いという。空港近辺で電源を入れないなど要注意が必要。