只今、日本はゴールデン・ウイークで連休が続いている。四月二十九日の「緑の日」に始まって「メーデー」や「憲法記念日」「国民の休日」から「子供の日」と休みが続くのだから庶民は大喜びで海外や国内の旅行に大忙殺らしい。今やブラジルよりも日本の方が国民の祝祭日が多いのだそうで識者からは「少し休みすぎ」の声も―▼戦後の政治と社会を彩った労働者の「メーデー」も今年は東京で三万五千人しか集まらなく、かってのような勢いもない。その昔は十万人規模も珍しくはなく祭典というよりは政治的な決起集会の色合いが濃かったし流血の惨事も多かった。これに代わって大きな話題を提供するようになったのは五月三日の「憲法記念日」だろう▼改憲か護憲かは古くて新しい難問ながら政治史の流れでは「護憲論」の力が強かった。旧社会党の主張であり労働運動も同調し、改憲を語ろうものなら、それは政治的な死をも意味していた。憲法を取り巻くそんな環境が激変したと言っていい。自民党は党の綱領に従って憲法改正に向けて積極的な動きを見せているし、公明党も民主党も基本的には改正への方向で進んでいる▼有力新聞も「改憲試案」を公表するようになったし国民の過半数もが「改憲を支持」になっている。この動きはもはや抑えることができまい。社民党と共産党は依然として「護憲」に拘っているけれども、これを世論が受け入れるとは考え難い。もっと柔軟で寛容な取り組み方でもいいのではないかと思うのだが―。(遯)
04/05/04