5月5日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】リオデジャネイロ市の空軍弾薬庫を三日深夜、五人組の武装した強盗が襲い、武器や弾薬を盗んだ。強盗は門衛の歩哨五人を取り押さえ、弾薬庫に入った。自動小銃HK33二十二丁と四十発入りの弾帯を四個、銃弾十五発入り口径九ミリのピストル・タウルス一丁を奪って空軍保有のワゴン車に乗って逃走した。今回の強奪は今年に入って三度目。空軍本部は内部に共犯者がいるものとみて、弾薬庫の責任者三人を更迭した。
事件は、リオ市北部ボン・スセッソ区のブラジル大通りにある空軍の弾薬庫で午前〇時過ぎに起きた。弾薬庫にいたのは五人の歩哨だけだったのか、他にも誰かいたのか、軍の発表は一切触れていない。空軍弾薬庫は、マレー貧民街に囲まれている。
ブラジリア空軍本部のブエノ空軍大将は、弾薬庫責任者の更迭を命じた。また武器に関する内部捜査のため空軍調査委員会の設置を命じ、四十日以内に結果を報告するよう指令した。指令書は、これまで空軍本部に入った情報と判明した事実について極秘扱いとするよう要請している。
関係者の話によれば、内部に共犯者がいて、強盗らは何がどの位どこにあるかを熟知していたようだ。犯行は、計画的に実行された。事件当時、電源は切られていたため犯行現場は真っ暗で、強盗は懐中電灯を携帯していた。強盗は発砲することなく、正門にいた歩哨三人を縛り上げ殴打した。残りの歩哨二人は異常に気づき、草むらに逃れた。
強盗らは逃走の際、犯罪組織ADAのマークが入った機関銃の弾帯をワゴン車の中に置き忘れた。この弾帯はマレー貧民街を仕切る組織ADAから、デンデー区の第三コマンドが奪ったものと見られる。歩哨から奪った携帯電話が、ゴベルナドール島で発見されたため、強盗らは盗んだ武器をデンデー貧民街に運んだとみられる。逃走に使ったワゴン車は、三十キロメートル離れたブラジル大通りのレアレンゴ区に放置されていた。
リオ州保安局の関係者は、軍管理の武器弾薬が簡単に盗み出され、麻薬密売業者の手に渡り、その後始末は州保安局に回ってくると述べた。州保安局は武器密売の流れと組織の資金力を監視しており、軍倉庫を襲うのは犯罪組織に武器の購入資金がなく、財政的に逼迫したからだとみている。
大統領府の安全保障室は公文書で、陸軍へ輸送中の口径九ミリのオーストリア製ピストル五丁と十五発入りの弾倉十個が〇三年二月に紛失したことを明らかにした。巧妙でひんぱんに行われる武器の横流しルートは、解明されていない。
犯罪組織が、政府の弾薬庫を襲って公にされてないものは多い。〇三年五月、ゴベルナドール島の空軍倉庫。〇三年六月、サン・ゴンサロの陸軍第三師団の弾薬庫。〇四年二月、サンタ・クルース空軍基地。〇四年四月にはコレイア貧民街へ、空軍が購入した大量の地雷や手榴(しゅりゅう)弾、弾薬が丸ごと横流しされていた。