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21世紀はサービスの時代=ブラジルは定着に時間必要

5月5日(水)

   【ヴェージャ誌】未来の起業家志望なら、これからのグローバルな世界では生産や営業という観念が、サービスという価値観に取って変わることを認識すべきだと、ハーバード大学のステフェン・カニッツ教授が忠告する。
 何を作り何を売るかではなく、商品や製品に付加されるどんなサービスを提供できるかが重要だと語る。これからの産業は、サービスの付加価値の時代だと位置付けしている。多くの企業がサービスについて認識不足か、準備不足だと警告している。
 ビジネスとはサービスの提供であると社員を教育し、営業戦略を練っている企業は少ない。同教授はこれが未来の成長産業の必須条件だとしている。企業には伝統や価値観、創業の精神などがあり、企業体質の変革は多くの抵抗を受ける。生き残るために、時代の流れに乗り遅れてはいけない。
 サービス精神は建国の歴史に培われ、各国で見方や考え方が異なる。ポルトガル文化を継承したブラジルは、サービスは奴隷の役目という考え方が長い間、定着していた。サービスは主従関係の物差しであって、ビジネスの対象という発想はなかった。奴隷制度が四百年も継続した歴史を持ち、奴隷解放が最も遅れたのもブラジルであった。
 ブラジルでは、サービスという言葉に否定的意味合いがある。サービスの精神が、ブラジルに定着するには少し時間がかかる。ブラジルはキリスト教国でありながら、サービスの精神は疎んじられた。奴隷制度を早く撤廃した国や存在しなかった国は、サービスの精神がすぐに入る土壌が自然にできている。
 ブラジルの特権階級や指導者層に、サービスの精神はほとんどない。他人からサービスされるのが当たり前だと思っているので、時代認識には程遠い。ブラジル人の民族意識は、上層に行くほど権利の主張はするが、義務の履行などは考えてもいない。
 ブラジルの官僚に、公僕の精神を植え付けることは至難の業だ。これからのグローバルな世界にブラジルが仲間入りするには、政治家や公務員、特権階級にサービスの精神を教える専門講師を雇わねばならない。そうしないと、世界の趨勢(すうせい)に背を向けて生きるどこかの国の指導者と同じだ。

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