5月8日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】内外の不安要因を受けて金融市場は六日、大きく揺れた。サンパウロ市証市場は株価指数を四・一七%下げ、ドル通貨は一・五六%上げ、三レアル〇〇一セントを付けた。カントリー・リスクも、九・〇六%上げた。内部要因は、ビンゴと最低賃金の暫定令で政府が脆くも敗れ、財政収支の悪化が予想されたこと。外部要因では、原油価格の暴騰と米公定歩合の引き上げが近いとの予測などだった。
国際情勢の緊迫化による影響と世界経済の先行き不安から国際金融市場が動揺し、サンパウロ市証券市場に波及した。原油の国際価格はバレル当たり四十ドル近くに付け、予断を許さない状態にある。国際金利の目安となるFRB(連邦準備制度理事会)の公定歩合引き上げよりも、原油価格の暴騰は不意に襲う危険なインフレ要因と見られている。
また米国は失業保険の申請減少で、米国消費市場の過熱化に表れた景気回復とベア調整によるインフレが懸念されている。そのため予想よりも早く、公定歩合の引き上げが行われると噂されている。
噂の根拠は、国際投資家がカントリーリスクの上昇で、途上国の外債証券をいっせいに売りに出したことだ。この流れに拍車を掛けたのが、ブラジル議会で否決されたビンゴ禁止暫定令と最低賃金の見直しだった。
六日の金融市場は、ブラジルの政情不安と原油暴騰、米公定歩合の引き上げ予想とトリプル・パンチを受けた。ブラジルの金融市場は国外の金融危機に余り影響を受けなかったが、国内政治が不安定となったため、外部要因に対して敏感に反応するようになった。
五日に売り出された固定利付き国債は、投資家の要求金利とかみ合わず売れなかった。六日に変動利付き国債が一部売れたに過ぎなかったことで、国債の流動性を投資家が疑った。
中央銀行のメイレーレス総裁は国際金融市場の動揺を認め、健全なブラジル経済はそれを克服できるとした。〇二年に起きた国債の流動性不安は、もうないと確約。しかし、中銀が〇七年と〇九年の変動利付き国債の売買を保留したことに総裁は言及しなかった。
米国が中国経済に照準を合わせ通貨政策の調整を行うため、流動性の変化がどこかの金融市場に影響を及ぼすのはやむを得ないと総裁は述べた。ブラジルのカントリーリスク上昇は、国際的な流動性変化の余波であって、短期的現象で結論を出すのは早計とした。
マンテガ予算管理相は、カントリーリスクよりも経済の基礎的指標に注意するよう呼びかけた。同相はブラジルのカントリーリスク
は公定歩合に連動したもので、上下幅はまだ許容範囲内だと述べた。米国の公定歩合引き上げは七、八月とみられ、鳥の羽音で騒ぐ必要はないと語った。
ブラジルは外貨準備高が二百億ドルあり、今年に決済する二十五億ドルの資金は心配ない。原油の暴騰も一時的なインフレ要因になるが長続きはせず、金融市場は直ちに正常化すると同相は予測した。