ホーム | 日系社会ニュース | 08年までに「海外日系人会館」を=神戸の推進協議会=「ぜひ『国立』にしたい」=旧移住センター活用中=先月、日系三世ら「移民祭」

08年までに「海外日系人会館」を=神戸の推進協議会=「ぜひ『国立』にしたい」=旧移住センター活用中=先月、日系三世ら「移民祭」

5月8日(土)

 【既報関連】ブラジル移民百周年に向けて、神戸でも移住者顕彰事業が進んでいる。国立海外日系人会館推進協議会(平田幸廣会長)は、長い間移民事業を支えてきた旧神戸移民収容所(旧神戸移住センター)を「国立」の海外日系人会館にしたいと切に願っており、推進運動を日本で続けている。
 これまでの神戸における移住者顕彰事業は、神戸港の移民船乗船記念碑建立(二〇〇一年四月二十八日除幕)や移住者が港まで歩いた鯉川筋の整備(市の事業で一部完成)だった。
 現在はブラジル移民百周年の二〇〇八年に照準を合わせて旧移民収容所の建物を海外日系人会館とし、国立化に力を注いでいる。
 収容所は一九二八年に完成してから戦後移住再開後のしばらくまで日本唯一のブラジル移住基地だった。戦時中の空襲や九五年の阪神大震災にも耐え、築七十五年を経た今も健在。日本でただ一つ残った移住の歴史を伝える建物。
 現在、館内では移住資料室を設け、写真資料、移民船の模型、当時使っていた机や椅子、ブラジルでの移民の活動を記録したビデオを常設。
 また、国際協力に関わる様々な活動に活用されている。日本に働きに来た日系二世、三世の子どもたちの帰国に備えて母語教室を開設。インターネットで自由に母国の情報に接することも出来る他、小学生、中学生、高校生の移民の歴史学習の場にも利用されている。 
 先月二十八日には関西ブラジル人コミュニティーの主催で日系三世の若者らによる「移民祭」が開かれるなど日系人のルーツに触れる場、日系人が気軽に集える場となっている。
 推進協議会は今後も保存・活用のために民間の力で出来ることは進んで取り組んで行く予測だが、日本が国策として行なった移住の歴史を残す意味で国立化を望んでいる。海外の日系人からも、国によって保存整備されるよう強い要望が寄せられており、海外日系人大会でも大会要望として取り上げられ政府や関係機関に提出された。
 協議会はこの運動が全国的、世界的スケールへ拡大できれば、ニューヨークやサンパウロの移住ミュージアムに匹敵するものになるのでは、と考えている。