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綿が「白い黄金」に=大豆に続く切り札=国際価額格、2年で倍増=WTO判断追い風に

5月11日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】サンパウロ州パラナパネーマ郡のオランブラ産業組合は八日、綿の国際価格が二年間に倍増し世界貿易機関(WTO)の勝訴が追い風となり、綿は大豆に続くブラジル特産品の切り札になると報告した。綿は「白い黄金」と呼ばれ、新たな綿生産地としてバイア州やマット・グロッソ州、南マット・グロッソ州が注目を浴びている。〇四年の綿は、大豆の四百二十一億レアルに次ぐ販売高が見込まれている。

 同組合生産者二十六人による綿の作付け面積は、四千五百ヘクタールから七千九百ヘクタールに増えた。綿の生産者価格はアローバ当たり、三十五レアルから七十三レアルへ倍増。同組合は予想を上回る明るい見通しで、綿加工工場に六百万レアルを設備投資して生産能力を倍増する予定。
 同組合は他の綿生産地帯にも進出して、同様の加工工場を新設する計画だ。綿生産者は過去十年間で、綿を巡る世界情勢が好転したことで、大豆に続く主産品として綿に期待している。副産物を含めて百十億ドルの外貨を国庫にもたらす王者大豆には及ばないが、綿も有望産業として注目されている。
 農産物は、鉄鉱石や鉄鋼輸出に継ぐ主要輸出品の地位を占めている。現在の綿生産者価格が継続するなら、投下資金は折りに返るとされる。WTO判断が米国の綿生産者と繊維業界に打撃を与えた反面、ブラジルの繊維業界は勝利の前夜祭に酔っている。
 ブラジルは国内消費八十万トンに対して百十八万トンを生産し、四十万トンのはけ口を探していた。〇四年は作付け急増で、生産高は激増するはず。これまで綿の作付け面積は、国内ランクで七番目に過ぎなかった。これから繊維作物生産者は、春を迎えそうだ。
新興綿作地帯は生産者が、すでに最新の生産技術を体得し、手ぐすね引いて待機している。世界の一級品といわれる綿に、劣らぬ品質の綿が生産されるようになった。世界最大の生産国オーストラリアの生産コストよりも、ブラジルは四〇%も割安。同組合は綿生産者二十五人を引き連れて、オーストラリアを視察した。
 同国は、遺伝子組み換え(GMO)を行った綿を栽培している。ブラジルは害虫駆除のため十一回の農薬散布を行うのに、GMO綿は一回のみに過ぎないので絶対有利。害虫の被害を受けない綿は、高品質を保てる。ブラジルはこれだけの不利な条件を克服して、面積当たりの収穫量では僅差で同国に迫っている。
 南麻州のナビライ農産組合は、綿の垂直生産方式を考案した。同地域の生産者は、面積当たりで高収益を得ている。同組合の技術指導で、綿のプルマ加工を習得したからだ。
 ノゲイラサンパウロ州農務長官は、かつての綿王国であったサンパウロ州の綿作地帯再興のためロンドノポリス地方を視察した。サンパウロ州の綿作付け面積は昨年比で、二九・四%増となった。同長官は、牧場地帯の再開発に綿作を奨励した。休眠中であった数々の綿加工工場も復活。綿生産技術の発展が、綿産業の再興に貢献している。