5月12日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】サンパウロ市西部アウト・デ・ピニェイロス区の高級住宅街で七日、十五歳の少年が民間警備員によって射殺される事件が発生した。法律では、民間警備員が銃器を所持することは認められていない。近所の住民らは事件の起きる十五日ほど前に、同警備員が勤めていたイタイン警備会社が不正なパトロールを実施していると連邦警察(連警)に告発していた。しかしながら、連警は同社に対する取締りを怠り、結果的に悲劇を招いたとフォーリャ紙が報道している。
事件の発端は警備員と射殺された少年の口論だった。六日午後、同区ヴィセンチーナ・デ・カルヴァーリョ広場を頻繁に訪れていたギリェルメ・メンデス・デ・アウメイダさん(一五)と友人たちは、高速で走行してきたパトロール中のウノ車とぶつかりそうになり、警備員の二人と口論になった。その一人がカルロス・オリヴェイラ・ソウザ容疑者だった。少年たちは「スピード違反だ。警察を呼ぶぞ」とまくし立てた。
翌七日午後六時ごろ、一人でパリオ車を運転していたソウザ容疑者は同広場に差し掛かった時、ギリェルメ少年のグループ(男子三人、女子三人)と出くわした。少年はソウザ容疑者の顔を覚えており、「もっとゆっくり走れよ」と大声で呼びかけた。その態度に激怒した同容疑者は降車し、少年らに拳銃を向けた。
ソウザ容疑者は少年らに背中を向けるよう命令し、ギリェルメ少年を撃った。少年は走って逃げようとしたが、背後からさらに四発胸部に撃ちこまれ死亡した。
同区に住む匿名希望の人物によると、同区の住民たちは銃器を所持するイタイン警備会社の警備員を雇って、同区のパトロールに当たらせていた。住宅一軒につき月百レアル。法律では禁じられている行為である。
イタイン警備会社の社長で元軍警官のマルコス・L・オリヴェイラ氏(四〇)は、同社の社員が銃器を所持してパトロールしていることを否定している。「当社の車両がパトロール車に似ていることは事実だが、当社の社員が直接パトロールするのではなく、不審に思う事態に出くわした時には警察を呼んでいるのだ」と説明している。
これと似たケースは多く、年に二百件の割合で連警に告発されている。九日、裁判所はソウザ容疑者の逮捕状を発行。イタイン警備会社側はソウザ容疑者がただの運転手であり、銃器を所持していないはずだったと主張している。ちなみに同社は連警の営業許可証なしで運営していた。