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農業補助金問題で前進=WTO ブラジルの訴え認める=農業大国への道開けるか

5月12日(水)

 【ヴェージャ誌】自由貿易に向けた工業製品の関税引き下げは大きな進歩があったが、農産物の関税障壁削減では大きな難問が立ちはだかっている。先進国は得意分野で途上国を圧巻し、歩留まりの悪い農業をいつも交渉の枠外に置いた。
 先進国は農業を守るために法外な関税障壁を設けたり、三千億ドルに上る補助金で自国の農業を過保護下に置いた。この先進国の農業政策が二年半前、世界貿易機関(WTO)のドーハ会議で国際ルール違反として明るみに出された。
 WTOドーハ会議は、途上国が特に関心を寄せる農産物問題を、メキシコのカンクン会議で解決することを約束した。しかし、先進国は詭弁を使って、その後のマイアミ会議でも強引にウヤムヤにした。
 WTOには、貿易問題の仲裁役と司法的な判断を下す役目もある。四月三十日、農業問題では初めて米政府の綿補助金に対し、ブラジルの訴えを全面的に認める判断をWTOは下した。六月の正式通告まで、米国に抗弁の機会が与えられた。この判断は、WTOで訴えが聞かれるという勇気を途上国の国々へ与えた。
 これまで資金力にものをいわせ、国際市場を我が物顔で支配してきた日欧米の先進国は慌てた。先進国は農産物に対し、知的所有権で仇を取ろうとしている。ブラジルの農産物はどれも戦略物資なので、先進国にとって国家安全保障の問題がからんでくる。それにしても農産物が、ようやく日の目を見そうな希望が沸いて来た。
 ニューヨーク・タイムズやフィナンシアル・タイムズは、ブラジルの勝利を祝った。米国農業はルール違反の補助金を盾に、途上国に「貧窮の種」をまき散らしたと報道した。米国の農業者団体は強い政治力を持っているので、まだ何が出てくるか分からない。
 欧州にも問題はある。EUの牛は毎日、二ドルの補助金を貰っている。世界人口の半分が毎日、二ドル以下で生活しているのだ。
 米国の綿生産者は、途上国の綿生産者よりも高い生産コストを掛けて生産する。米国はダンピングによって、世界の貿易高の四〇%を握っている。最も被害を受けたのが、ブラジルとアフリカ。アフリカ諸国は綿が主産業であるため、多くの綿生産者が飢餓線上にいる。
 ブラジルはこれまで、補助金制度で対抗する先進国に対し、農産物輸出で六十億ドルの損害を被ってきた。そのような難関を突破して〇三年、農産物はGDP(国内総生産)を前年比で三一・四%増上げた。輸出は総額三百七億ドルで全体の四二%を占めた。貿易黒字では、農産物が二百五十億ドル。〇四年の収穫予想は千二百五十五億トン、前年比で一・五三%増を予想。