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貧困層減らしに成功=サンタカタリーナ州 企業連合で零細企業育つ

5月12日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】サンタカタリーナ州が過去十年間で奇跡の経済成長を遂げ、下層階級の生活水準を引き上げたことは、ほとんど知られていない。この成果は専門家や経済団体などの協力で都市や農村に零細企業を起こし、所得の再分配に努力したためとされる。
 ブラジルが為替危機で悩んだ九〇年代、同州は年々実績を積み重ね、貧困層を減らした模範州となった。当地を訪れると、二十世紀初頭農民一揆のあった同州北部マフラ市でさえもその雰囲気が感じられる。
 同市のハブレ一族の養鶏場から鶏の鳴き声が聞こえる。日産三千ダースの鶏卵を出荷し、月収十万レアルを得ている。主任のジナシルさんが十年前は非常に貧しい農家だったと告白する。一族三家族は親戚同士でありながら無意味な競争をしていたが、農業技師の指導で共同経営によるアグリビジネスを始めた。
 ほとんどの農家は、十から二十ヘクタールの農地所有者だ。それぞれが養豚、ブロイラー飼育、養羊、養魚、養蜂や果樹、雑穀、野菜、薬草などの栽培でグループを構成し、会社組織で生産や販売、加工については専門家の指導を受けている。都市でも同様に、それぞれの業種で企業連合を築いている。
 同州発展の基礎には、欧州系移民の結束と会社組織への順応性があるようだ。
十年前にもドイツ移民やイタリア移民の子孫がいたが、みんなバラバラであったという。現在は各コミュニティが民族性と起業家精神を発揮し、特徴のある地域社会を築いている。同州には、起業家意識を育む土壌があるようだ。
 九〇年代はグロバリゼーションの波が世界を覆い、各国は人件費の削減に狂奔した。同州には世界的ブランドのメーカーがひしめくが、グローバル化の荒波を受けた。多くの熟練工が失職し、細々と零細企業を開業した。しかし、同州に脈打つ起業家精神と企業団地が、これら零細企業を育てた。