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コラム 樹海

 ブラジル移民百周年を四年後に控え、日本側で着実に進行している記念事業がある。兵庫県神戸市を中心に行われている「移住者顕彰事業」である▼これまで兵庫県、神戸市、(財)日伯協会を軸とした国際交流団体、企業および個人が、顕彰の第一ステップとして神戸港に移民船乗船記念碑を建立、第二ステップで移民が港まで歩いた鯉川筋整備を行った。もう一つが「国立海外日系人会館」(仮称)公認である。これは、推進協議会が組織され進められている▼会館は、現存の旧神戸移住センターの建物である。協議会の強い意向は、仮称の「国立」を正式に日本政府に認めてもらおうということだ▼旧センターは、移民の多くが、乗船前の何日かを共に過ごし、移住に備えたところだ。戦時中の空襲にも大震災にも耐え、日本でただ一つ残った移住の歴史の生き証人的建物である。協議会は「移住史の証し」と言う▼建物は、整備され、活用が始まっている。移住資料室を設置して関係資料を展示、在日ブラジル人の母語教育の場、フェスタにも使われている。つまり、建物の保存と同時に活用なのだ。協議会は今後一層、国際協力・交流に関わることができるとしている▼移住事業は国策として推進された。残された日本唯一の〃ブラジル移住基地〃は、将来も国営であるべきとの協議会の考え方だ。ブラジルへの移住が百年を迎える〇八年には晴れて「国立海外日系人会館」と呼ぼう、という協議会の意向に賛成である。(神)

 04/05/14