5月15日(土)
思い出すのは憂うつで辛いけど、どこか哀愁が漂う日本就労。デカセギ経験者が日本での生活を率直に語るドキュメンタリー・ビデオ『Cartas』(手紙)が、十九日から四日間、サンパウロ日本文化センター多目的ホールで上映される。
監督は、今回がビデオ・ドキュメンタリー作家として第一作となる日系三世、エリオ・イシイさん(三六)。自らも九一年から一年半、デカセギ生活を体験する中で、この作品を思いつき、先ごろ完成した。
三人の訪日就労経験のある日系女性の独白に、日本の映像と、監督自身が受取ったデカセギ女性からの手紙を織り込む。きつくて単調な仕事の毎日。「言葉が分らない」「日本人は温か味が足りない」「日本の生活に疲れた」「外人扱いされた」と苦情を並べる反面、「日本の生活は夢のようだった」「忘れられない日本人の友達がいる」とも。
悲喜こもごもの日本に対する印象や体験が全編(八十分間)を彩る。数年間の日本就労が残した傷跡と、戸惑い、思い出を表現した作品だ。その間、流れ続ける音楽は、日本唱歌などを編曲したギターの独奏で、ほんのりと郷愁を漂わせる。台詞は全てポ語。
十九日は午後七時からで、音楽を手がけたギター奏者カミーロ・カハーラさんの日本唱歌演奏、イシイ監督を交えた座談会も行われる。二十日は午後三時、二十一日は午後七時、二十二日は午後四時から上映開始。入場は無料。問い合わせは国際交流基金(11・3141・0843)。住所はパウリスタ通り三十七番、一階。