5月18日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】最近の国際情勢緊迫化に備えジルセウ官房長官は十五日、現行の経済政策では外的要因に対処するためには不十分であるとして政策総動員態勢を提唱した。同長官は外部から押し寄せるうねりを防ぐために議会を初め官公庁、財界、労組、国民の一致団結が必要であると強調し、政府とPT執行部は大衆迎合主義を避け、パロッシ財務相が導入した経済政策の堅実路線を採用し続けるよう関係者の理解を求めた。
ピーヴァ・サンパウロ州工連会長、ロベルト・マリーニョ・グローボ局会長、アギネリ・ヴァレ・ド・リオ・ドーセ社長など、産業界を代表する財界人百十人が官房長官を招いて晩餐会を催した。同長官は席上、国際情勢緊迫化の予兆を告げ、出席者を驚かせた。国際間の懸念事項が現実となるなら、従来の経済政策だけでは対応が不十分で、国民の一致団結を求める必要があると訴えた。
財界代表は低迷が続く国内産業からみて、官房長官の未来予測に戸惑った。経済活性化をうたって登場した現政権が、今は水を差すような発言をするので理解できなかった。同長官は政府が対外的に直面するのは政治問題であるが、結果として経済への波及が懸念されるとした。
国際情勢の緊迫化がもたらしつつある状況は、国民全員に一致団結を要求する深刻なものと同長官はいう。国家建設には冷徹な政策と夢を兼ね備えなければ何もできないと述べた。
国際情勢の中でブラジルの立場は鮮明であると、同長官は強調した。しかし、世界の国々と肩を並べて競うには、国内の問題が山積していると誰もが承知だ。全員協力してインフラ整備に努めれば、来りつつある国際的不況をブラジルは克服できると訴えた。
一方、政府とPT執行部はパロッシ財務相の堅実路線で意志統一を図ったことで、連立与党を含む党員が地方選に向けた公の場で、大衆迎合路線を呼びかけることを警戒している。
議会は最低賃金令二百六十レアルを否決したが、政府案を上方修正することなく、政府は財政黒字とインフレ対策優先に固執する考えを示した。政府と党執行部は、党内にくすぶる不満の声を封じることで認識が一致した。
ドゥルシ総務会長は大統領と財務省の懸念を受けて、政府は経済政策で見解が一致していると、国民に訴える声明書を起草中であることを明らかにした。現行の経済政策はさらに堅実化のための手直しはあっても、大衆迎合のために変更はないという。飽くまで低率インフレを維持した経済成長が方針で、基本金利の引き下げに応じないと言明。
〇五年度の財政黒字目標、国内総生産(GDP)の四・二五%は動かないと見られる。そのため堅実路線とジニス不祥事による地方選への影響は避けられないと、政府はみている。〇三年、PTの市長当選は七百人から八百人と予測されていたが、現在は四百人から五百人に下方修正された。州都の市長も現在の八人から、大幅減少が予想される。